2009年 06月 22日 ( 1 )   

映画「サガン 悲しみよこんにちは」   

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監督:ディアーヌ・キュリス   主演:シルヴィー・テステュー

ジーン・セバーグ主演の1957年の映画「悲しみよこんにちは」が、生涯お気に入り映画ベスト5に入るという友人に誘われて、現在公開中の「サガン 悲しみよこんにちは」を観てきました。

18歳で書いた処女小説「悲しみよこんにちは」がベストセラーになり、巨万の富を得た少女が、ギャンブルやパーティに明け暮れる奔放な生活に走り、最後は孤独にこの世を去っていくさまが時系列に沿って、淡々と、忠実に描かれている映画でした。少し前に観た「エディット・ピアフ 愛の賛歌」の斬新な編集とは趣が違ってオーソドックスな伝記映画だったと思います。

伝記映画って難しいなあと思う。その人の人生を忠実に描きながら、興行成績を上げるためにも観客を飽きさせないドラマティックな演出が必要。さまざまなエピソードを織り交ぜて人物像を浮かび上がらせるのだけれど、説明部分が長いと冗長になるのでテンポよく。きっと、サガンの人生をよく知っている人にとっては、わかりやすい構成なのだろう。だけど私は、「この人はお兄さんかな」とか「この人は友人?愛人?」と考える必要があったし、複雑な交友関係に慣れるのに少し時間がかかった。新しい人物がどんどん登場しては去っていく。結婚したかと思うと別れているし。かと思うと別れた夫と一緒に住んでいたり。本当に奔放で自由な生活。「自由」という意味は難しいけれど。話はどんどん進む。雰囲気を盛り上げるような長いクローズアップや芸術作品にありがちな意味深なショット、それとラブシーンも一切なかったのがこの映画にはよかったな。

18歳で突然大金持ちになり周りにもちやほやされると、誰だって自分を失ってしまいそうになると思う。まだまだ子どもの心のままなのに、大人の世界(お金の世界)に引きずり込まれてしまうのだもの。にこにこと機嫌よく振舞っているかと思うと、気に入らないことを言われるとすぐにむくれてとんでもないことをしてしまう繊細な少女。金銭的に恵まれた環境に生まれながら、コンプレックスも強く、プライドは高い、というところなんて、今ブーム再燃の太宰治にも少し似ているようにも思った(くわしくはないですが)。親しい人がどんどん去っていって最後は一人になるのがかわいそうだったな。そういえば、最後のほうで突然現れてサガン家を書き回し、風のように去っていった、アストリッドとかいういんちきそうな女がいましたが、あんなふうに描いて大丈夫なのでしょうかね。サガンは2004年に亡くなっているので、その人物はまだご健在でしょうに。あんなふうに描かれて怒ったりしていないのかしら。

本人の動く映像を見たことはないけれど、サガンを演じたシルヴィー・テステューは、きっとものすごく研究して似せているのだと思う。ピアフを演じたマリオン・コティヤールもうまかったけれど、シルヴィー・テステューもすごい。最近の女優さんは似せる演技が上手ですね~。髪の毛を触る癖とか、上目遣いとか、きっとこんな感じの人だったのだろう。テステュー自身は38歳だそうですが、18歳から亡くなる69歳までを見事に演じきっていました。姿かたちだけでなく、しゃべり方や歩き方も老いていくにつれて変化していた。また、本人だけでなく周りの人物も変化していく様子が、特殊メイクのおかげもあるのだけれど、とっても自然で驚いた。友人とも話しましたが、男友達のベルナールが徐々に髪が薄くなっていくのは、あれは特殊メイク?それとも、もともと薄くて最初が埋めていたの? 69歳のサガンは見事に老けていたけれど、目玉だけは若かった。いくらなんでも目玉は変えられないものね。そういえば、この女優さん、映画「エディット・ピアフ」でピアフの親友役を演じた女優さんなのですね。あの、親友もよかった。ピアフに嫉妬心を抱くあたり、すごく共感できる演技だったもの。実力のある女優さんなのだろうなあ。

女性陣のファッションもかわいかった。やはり私は60年代ファッションが好き。サガンはお洋服にはあまり興味がないと友人で愛人?10年以上も生活を共にした元モデルのペギーが映画の中で言っていたけれど、私はペギーの大人っぽいお洋服よりサガンの少し甘さのあるお洋服のほうが好きだったな。
上の写真のブラウスとパンツもかわいいけれど、他にもいろいろ素敵なお洋服を着ていました。調べてみると豹柄とパールをこよなく愛していたらしい。豹柄もサガンが着るとちょっとかわいい。
ペギーとサガン
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ペギーを演じたジャンヌ・パルマードという女優さんの演技にも感心しました。泣かせる演技でした。

サガンの本は、かなり昔に何冊か読んだと思いますが、特に印象に残っていない。サガンを受け止めるほどの感性は私にはなかったから。でも、もう一度読んでみたくなりました。実家にあるはずだから送ってもらおうかな。友人のお気に入り映画「悲しみよこんにちは」も観なくては。

サガンの一人息子さんのインタビュー記事がこちらにありました。さすが、サガンの息子。いい男です。

by oakpark | 2009-06-22 23:44 | 映画 | Comments(6)