「博士の異常な愛情」(1964)   

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ジェフ先生の映画講座、今回のお題は、スタンリー・キューブリック特集です。
一回目の今日が「博士の異常な愛情」(Dr.Strangelove:Or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb) でした。
私、実はこの映画、つい、半年ほど前に見たばかりで、また見なきゃいけないのか~と、ちょっと憂鬱でした。政治風刺映画で、ブラックユーモアが効いていて、奥の深い、興味深い映画ではありますが、何度も見たいと思う映画ではなかったので。

でも、この映画を何度も見たがった男がいるんですよね。ハイ、エルヴィス・プレスリーです(笑) 半年前、私がこの映画を見たのも、これがエルヴィスのお気に入り映画だったと知ったからなのです。じゃなかったら、選ばないな~、この映画は。

エルヴィスの側近の一人、ジェリー・シリングが書いた本に、こういうくだりがありました。
「1964年頃にはすでにエルヴィスは自分の映画の質に嫌気がさしていた。映画館を借りきってみんなで映画を観るときにエルヴィスが選んだ映画のことを考えると、僕は、エルヴィスがかわいそうでたまらなくなる。エルヴィスの映画の趣味は本当に洗練されていたから。エルヴィスは『アラビアのロレンス』が好きで、『アラバマ物語』に感動し、『質屋』でのロッド・スタイガーの力強く、なおかつひねりのきいた演技に感心していた。なかでも、僕らが、少なくとも12回は見させられた、エルヴィスの大のお気に入りの映画が『博士の異常な愛情』だった。僕らは必ずしも政治風刺映画は好きではなかったが、エルヴィスが大笑いするのを聞くと、いつも一緒に笑った。エルヴィスはピーター・セラーズの大ファンで、ピーター・セラーズはもちろんのこと、この映画の登場人物全員の物まねをして聞かせてくれるのだった」

というわけで、見ないわけにはいかないと思い、選んだ映画でした。

ジェフ先生の解説は、いつものとおり、感心させられることばかり。
最初のシーン、優雅な音楽にのって、2機の飛行機が接近して給油するシーンは、sexual intercourseを表しているとか。人間の(特に男性の)性欲と、暴力欲は、密接な関係があるとか。 元ナチの科学者を登場させたのは、アメリカが核兵器を開発するためにドイツからたくさんの科学者を連れてきたことを揶揄している、とか。競争、競争が招く恐怖とか。

笑いを誘うシーンとシリアスなシーンが交錯して、どっちのモード(まじか冗談か)で見てよい映画なのかわからず、疲れる映画でもあります。同時に、いろいろ考えさせられます。
核の恐怖は現代社会でもあるわけですが、こんなこと(核爆弾発射をコントロールすべき人が発狂する)が起こるなんて考えると本当に怖いです。

最後の核爆弾の爆発シーンの連続の映像は、やはり、日本人として正視できないですね。

さ~て、次回は「2001年宇宙の旅」です。これまた難解そう~。
『ツァラトゥストラはかく語りき』 ですね~。

by oakpark | 2008-07-25 23:59 | 映画

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