リヴァー・フェニックス映画「恋のドッグファイト」   

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私が映画好きになるきっかけが、リヴァー・フェニックスでした。当時、とてもストレスのたまる仕事をしていて、現実から逃避したくて、レンタルショップに行き、ふと手に取ったのがリヴァーの「旅立ちのとき」という映画でした。青春映画が好きなので、青春映画を観て元気を出そうと思ったのです。

この映画を観て、主演のリヴァー・フェニックスの、どことなく寂しげなまなざし、ひりひりとした無垢さ、傷つきやすそうな暗さ、そういった不思議なたたずまいに惹かれ、その後次々とリヴァー映画を観て行きました。そして、映画っていいなあ、と初めて映画のよさを意識したのです。「旅立ちのとき」については、また別の日に書きますが、この作品と1,2を争う、私の好きなリヴァー映画が、今回の「恋のドッグファイト」です。この映画はストーリーもさることながら、音楽がいいのです。音楽に疎いわたしは、何曲かは、この映画ではじめて聞き、あとになって有名な曲だと知りました。へ~、「恋のドッグファイトの曲だ」と思ったものです。やはり私は、音楽が印象深い映画が好きだなあ。
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1963年、明日から沖縄経由でベトナムに出征することになっている若き海兵隊員たちは、サンフランシスコでの最後の晩を楽しもうと、あるゲームを企画する。街に繰り出し、一番ブスの女の子をパーティ会場であるクラブに連れてきたものが勝ちという「Dogfight」というゲームだ。仲良し4人組、「フォービーズ(4B’s)」もこのゲームに参加することにする。彼らは、新兵時代、苗字がBから始まるということでいつも一緒に苦しい訓練に耐えてきた仲間だった。

エディ(リヴァー・フェニックス)は、雨を避けるためにたまたま入ったカフェで、片隅でギターを爪弾きながら歌を歌う少女を見つける。この店のオーナーの娘のローズ(リリ・テイラー)だった。彼女を連れて行こうと決心したエディは「ボブ・ディランはジム・スウェインに影響を受けたんだってね」とでっち上げの情報をえさにして彼女をくどこうとする。「楽しいパーティがあるから来ない?」というエディの熱心な誘いに、オーナーである母との関係を窮屈に感じていたローズは街に出て母から解放されたいと思い、エディの誘いに乗ることにする。これが「Dogfight」というゲームだと知らずに。

パーティ会場に行く道すがら、ローズとおしゃべりをするうちに、彼女の純粋さに心動かされたエディは、ゲームをやめようとするが、ローズは気づかない。ついにゲームが始まり、そのことを知ったローズは激怒。ひどく傷つき家に帰ってしまう。深く反省したエディは、彼女に家にあやまりに行き、本当のデートに誘う。

ここからがすばらしいの♪
二人の表情、恥ずかしがりながらも徐々に近づいていく様子がとてもリアルで泣ける。リリ・テイラーは本当にすばらしい女優さんです。

ここからのシーンで使われている曲は全部好き!
中でも、楽しいデートシーンに使われた、トーケンズの「ライオンは寝ている」、ローズがエディに歌って聞かせる、「雨を汚したのは誰(What Have They Done to the Rain?)」、ベトナムへ出征していく若者を映しながらの「We Shall Overcome」は時代を感じさせる選曲。そして、ハイライトシーン、二人が結ばれてから別れるまでのシーンで使われたボブ・ディランの「くよくよするなよ」は、もう、大・大・大好きです! この曲を聞くだけで泣けてくる~。
映画でチラッと映った、この曲が入っているレコードジャケットも素敵で、このCDを買ってしまいました。「Freewheelin'」というアルバム。ボブ・ディランが当時の恋人と楽しそうに歩いている素敵な写真。その後、何かの映画にもこのジャケ写真が出てきて、有名なアルバムだと知りました。
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最後のシーンがこれまたいい。

ここからネタバレですが、といってもこの映画なかなかレンタルショップにないので、皆さんが観ることのできる可能性は低い(と思う)ので、書かせてください! でも、読みたくない方は読まないでください。

戦場で親友3人を失い、自身も負傷して、思い出の地サンフランシスコに戻ってきたエディは友情の証に「フォービーズ」(4bees)つまり4匹の蜂の刺青をいれ、ローズのカフェを訪れます。出征前夜、エディがローズとデートをしていたときに、残りの3人がそれぞれ腕に一匹ずつ蜂の刺青を入れていていたのに、エディだけ入れることが出来なかったので、その償いに4匹の刺青を入れたのでした。

ローズのカフェに行く前に立ち寄ったバーでのおじさんたちとの会話もいいの。これも書きたいけれど、あまりにも全部書いてしまうことになるのでやめておきます。リヴァーは声もいいのです。ちょっとハスキーで。このシーンのリヴァーの声が好き♪

街はヒッピーがあふれ、一見してベトナム帰りとわかるエディは、すれ違った若者に「何人の赤ん坊を殺してきたんだ」と心無い言葉を投げつけられます。このときに流れていた曲が「Groovin'」。けだるいこの曲がこのシーンの雰囲気にぴったりはまっていました。つらい経験を経て、昔のやんちゃなエディではなくなっているのに、時代はそれとは関係なく、先に進んでいってしまっている。感情をなくしたようなエディの無表情さが悲しい。そして、自分を受け入れてくれるであろう唯一の人であるローズのいるはずのカフェの扉を開ける。。。。 初めてわずかに感情を表したエディ。ああ、このときのリヴァーの表情が最高です!!

なんて素敵な映画なんでしょ。それなのに、この映画公開当時の1991年に、日本未公開で、現在DVDにもなっていません。もっとしょーもない映画もDVDになっているのに、この映画もDVDになってほしいな!もしかして「ブスをゲットした人が勝ち」というストーリーがネックになっている?そんなことないよね!! だって、本当にすばらしい純愛の物語なんだから~~~。

監督は、女性の、ナンシー・サヴォカ監督。地味なエンディングに映画会社のお偉方が、もっと派手なものにしろと圧力をかけてきたそうですが、監督もリヴァーもリリ・テイラーも大反対し、この形のままになったのだとか。 たしかに地味なエンディングではあります。。でもそこがいいんです!ほんとお奨めです!

あと、音楽的には、パーティシーンで使われていた、リッキー・ネルソンの「Traveling Man」も印象深い。リッキー・ネルソンのことはエルヴィスファンになってから知りました。

それと、ブレンダン・フレイザーがほんのちょいやくで出ています。多分、これがデビュー作(?)撮影後のパーティでリヴァーと握手し「一緒のシーンがなくて残念だった」と言われたそうです。

by oakpark | 2008-06-19 23:35 | RIVER PHOENIX

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