本「職業としての小説家」 村上春樹   

さて、どんどんこまめにブログを書いていきましょう。

話題になっていたのかな、この本を読みました。
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2015年9月17日に第1刷発行で、24日には第2刷発行。すごい勢いで売れたのでしょうか。それとも見込み違いで第1刷の印刷冊数が少なすぎたのかな。

静かに感動を呼ぶ本でした。う~ん納得、う~んさすが、う~ん、、、、というかんじで、村上春樹さんのファンになりました。といっても村上さんの本業のほうである小説のほうは、いままで、それほど、よかった!感動した!という感覚を味わったことはないのです。ただ、気になるなあ、という程度。気になるから、次も読んでみたいなあ、という気持ちになる場合とならない場合がありました。でも、エッセイはいつ読んでも面白かった。安西水丸さんのイラストの雰囲気と、村上さんのカジュアルでユーモアを孕んだ文章がぴったりで、気持ちを緩くしたいなあというときなんかに重宝するかんじ。

今回の「職業としての小説家」は、特に村上春樹さんが苦手と思っている方に読んでほしいなあと思います。せっかく、現代日本の代表的な作家と時代を共にしているのだから、この人の小説家としての生きざまを知っておいても損はないと思うのです。

印象に残った部分はいくつかありますが、高校生のころ、英語の成績はすごく良いというわけではなかったが、原書で本を読んでいた。最初の小説は英語で書いて、それを日本語に訳したものだ。とか、オリジナリティを追求し、自分にしかできないこと、あるいは自分にできることだけをやってきた、とか。だから、『書くことがない』というスランプに陥ったことはない。書くことがある時しか書かなかったから、とか。いちいち、当たり前なんだけれど、なるほどなあ、と目から鱗のことばかり。当たり前のことだけど、みんなが気付かなかったことをやってのけた、というところに村上春樹さんの独自性があるのだと思います。

いろいろな批判は、はいて捨てるほど、山のようにあるでしょう。でも、気にせず(ちょっとは気にされているみたいだが)、日々のルーティーンワークを崩さず、淡々と黙々と小説家として生きてらっしゃる姿勢というものに、感銘を受けないわけにはいきません。もちろん、人間に上下はないけれど、村上さんは、上等な人、という印象を受けました。そして、私たち、この世に生を受けた人間は、‘上等な人'を参考にしつつ、自分の道を生きていくんだなあ、と思います。

この本の中に書かれている小説家としての資質についていえば、私には何一つあてはまるものはないけれど、ひとつだけ、こんなフレーズに心ひかれました。。。
「僕は思うのですが、小説を書くというのは、あまり頭の切れる人に向いた作業ではないようです」


お友達から借りたのにまだ読めていない、「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」を次に読もうと思っています。

by oakpark | 2015-11-07 17:02 |

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