お気に入りテレビ番組 『ファミリー・ヒストリー』   

最近お気に入りのテレビ番組を紹介します。NHKで月曜10時から放送の「ファミリー・ヒストリー」。芸能人の家族の歴史を調べて、実際の映像や写真と役者が演じる映像とを組み合わせて見せるドキュメンタリー番組です。昔からこういうドキュメンタリー番組が好きでした。このブログを始めた頃にも書きましたが、ノンフィクション番組の好きなところは、限られた材料でいかに面白く感動的に見せるかというところに工夫がなされているから。作り物のフィクションだと、無制限に新しいお話しを作って感動的にできるけれど、ドキュメンタリーの場合は使える材料は事実のみ。これを勝手に変えることはできないので、番組が面白くなるかどうかは、その事実をどういう順番でどのように見せるかにかかってきます。ナレーションの果たす役も大きいですね。

この番組を最初にいいなあと思ったのは、俳優の浅野忠信さんを扱った回。浅野さんのお父さんはアメリカ人で浅野さんが生まれてすぐにアメリカに戻っていきました。なぜお父さんはは幼い浅野さんをお母さんを捨てたのだろう、浅野さん本人も気になっていたことを番組が代わりに調べてくれ、新しい事実が続々と出てきました。そして最後には感動の結果が待っていたのです。

今週は、俳優の高橋克典さんでした。克典さんのおとうさんは音楽教師。数年前に亡くなった時にお葬式に1000人を超える参列者がいてそのほとんどが教え子だったそう。家ではお父さんと触れ合った思い出がほとんどなかった克典さんは思います。お父さんには自分の知らない人生があったに違いない。どんな教師でどんな歴史を背負った人だったのだろう、と。その疑問に答えるべく番組がいろんな角度から調べていきます。関係者にインタビューをしたり、歴史の資料館にあたったり。そして浮かび上がってきたのは、戦争の傷跡。

実は克典さんのお父さんは、15歳にして海軍に志願した元軍人でした。弱冠16歳で特攻隊に志願し、お国のためにいかに死ねるかを考えて思春期を過ごした人でした。それゆえに特攻隊員に選ばれたことを誇らしく思っていました。ところが、出撃を前にして、駐屯していた土浦の海軍航空隊が米軍の攻撃を受けて大打撃を受けてしまいます。ここにそのことが書かれていました。そして、そのまま出撃することなく終戦。しかし先輩たちの殉死を多く見てきた高橋少年の心の傷は大きく、復員後はすさんだ生活を送ります。ある日のこと、たまたま通りがかかった境界から聞こえる美しい歌声に心を奪われます。音楽との運命的な出会いでした。それから高橋さんは音楽にのめりこみ、音楽家を目指します。この頃に、声楽家を目指していた奥様との出会いも果たします。結局、音楽家ではなく音楽教師の道を選んだ高橋さんは、ときに、お国のために命を散らせた同世代の仲間のことを思い涙しながら、自分が今できることに喜びを見出し、幸せを感じながら、人生を全うするのです。

さすがにNHKはこういう番組の作り方がうまいです。途中何度か証言をしていた、高橋先生の教え子(最初の学校の音楽部の部長)が実は現在、高橋さんと同じ教師になっているということが最後に紹介されます。そしてこう言うのです。「高橋先生の退職のときに『先生ありがとうございました』というと、高橋先生はこうおっしゃったのです。『いやいや礼を言うのは私のほうだよ。君たちがいたから自分は幸せなときを過ごすことができた。君たちのおかげで救われたんだよ』私は教師として長く勤めてきましたが今でも、高橋先生を超えることはできません。でも、お手本にできる先生であったことは私の一生の宝物だと思うのです」

胸を打たれました。と同時に私にもそういう先生がいることを思い出しました。小学3,4年のときに担任してくださった深沢安夫先生。先生に教えていただいたあの2年間は、今でもキラキラ輝く宝物のような存在です。5.6年の頃のことはあまり覚えていないのに、3,4年の頃のことはなぜだかよく覚えているのです。それだけ印象深い日々だったのでしょう。実は深沢先生も特攻の生き残りでした。順番が回ってこずに終戦を迎えたそうです。過酷な経験を積んだ人は人生に対する覚悟が違うのかもしれません。先生から『真面目にきちんと生きる』という生き方の基本のようなものを叩き込まれた気がします。教室の掃除の仕方、給食の運び方、たくさん噛んで食事をすること、うそをつかないこと。あるとき、花壇を踏みつけてしまった男子生徒がこっぴどく先生に叱られ、「花さんごめんなさい」と花に向かってお辞儀をしながら謝っていたことを覚えています。だめなことはだめ、小さな花にも命は宿る。そういうことを先生は教えたかったのかもしれません。毎週木曜日(たしか)の読書ノート提出も懐かしい思い出です。毎週ノートを書かなければいけないので、毎週一冊は本を読まなければいけませんでした。バスに乗って私立図書館に通って本を探しましたっけ。その頃のバス代は大人30円、子供15円でした。次郎物語り」や「エミールと探偵たち」などがその頃の私のお気に入りの本でした。学校の帰りに友達と感想を言い合ったりもしましたっけ。

先生とは残念ながら数年前から連絡が取れなくなりました。どこかで存命されているのか、もう黄泉の国に旅立たれてしまったか。 もしチャンスがあるならももう一度お会いしたい。まあ、お世辞のお世辞だろうけれど、私のことを『せんだんは双葉より芳し』なんてほめてくれて。母がずいぶんこの言葉を気に入って、いつまでも『深沢先生がこういってくれたねえ』と言っていました。当時も今も全然芳しくはないけれど、尊敬できる先生に出会えた私は幸せ者なのかなとも思います。 

いろんなことを思った今回の「ファミリー・ヒストリー」でした。

by oakpark | 2013-01-12 00:50 | 日本のテレビ番組 | Comments(2)

Commented at 2013-04-13 19:23 x
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Commented at 2013-04-13 19:41 x
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