『カサブランカ』 ~やっぱ、かっこよかったボギー!   

前々回の日記で、ハンフリー・ボガードが全然かっこいいと思えないと書いたことを撤回します! いや~、やっぱかっこよかったです、ボギーは。 

『カサブランカ』は、今まで何度も観ましたが、今回一番感動しました。カルチャーセンターの宿題だったので、細かいところまでしっかり観て、いろいろ理解できたということもあるし、自分がトシをとり、人としての経験値が上がり、登場人物の苦悩や複雑な思いが以前よりも共感できるようになったというのもあるかもしれません。 よく、若い頃の感性は特別で、大人になったら同じような感動は味わえないと言いますが、たしかにそういうところもあるでしょうが、大人にならないとわからない感情のひだのようなものもあると思いました。観るたびに違う感動を得ることができるのが名画の所以ですね。

何度も見たはずなのに、有名な最後のシーンで意外にも涙が出てきました。そして、「ボギー、かっこいい!!」と思いました。ここね。
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イルザ:どういうこと?私はここに残るわ。
ボギー:君はラズロと一緒にアメリカに行くんだ。君のいるべき場所はラズロのそばだ。彼の人生の一部になっているんだから。君がいないと彼は彼の仕事を成し遂げられない。俺はここで俺の仕事をする。
イ:でも、、、、
ボ:今行かないと後悔することになる。すぐにではないかもしれない。あすでもないかもしれない。でもきっとそのうち、そして一生後悔する。
イ:・・・・・(涙ぐんでうつむく)
ボ:(イルザのあごの下に手をやり顔を上向けて) ナー(この溜息がいい!)(音楽は' As Time Goes By'に変わる。Here's looking at you, kid. (にやっと笑をうかべる!)
そして、イルザのアップ。ボギーがイルザの左ほっぺを2,3度叩くような仕草をする。ここがいい!!子供をあやすように優しくほっぺにタッチ。この時のハンフリー・ボガードの表情、最高! このシーンだけで、彼を「クールな男前」と認定してあげてもいいくらいです。顔の大きさなんて関係ないんですよ。

昔は、ふたりの男性を愛し、都合のいいように行き来している女に見えたイルザに共感できなかった部分もありました。でも、今思うのは、それもありなんじゃないかということ。二人の男性を別次元で愛することもありなんじゃないかな。その人を前にして「あなただけを愛している」というのも、嘘ではなく、その時の本心なんだと思う。母親が複数の子供を同じように愛し、それぞれの子の前では「お前が一番好きだよ」と言えるように。それに、一度好きになった男性を嫌いになることって、よほど嫌な経験でもない限りないんじゃないか。自分の経験に照らし合わせて、そんな風に思えるようになってきました。

映画は奥が深いですね。観る時の自分の年齢や置かれた状況によって感じ方もずいぶん違う。

今回は「フランスの誇り」という観点からも楽しめました。一番お?と思ったのは、ラズロとイルザ(イングリッド・バーグマン)が初めてリッキーハンフリー・ボガード)の店にやって来て注文したお酒が、コアントローだったこと。以前この日記に書いたように、夫が昔フランス人の友人からいただいたお酒なのですが、フランスの代表的なお酒ということでフランス人の誇りの象徴のような使われ方だと思いました。ラズロの指導のもと、カフェにいた親フランスの人たちがフランス国家を熱唱するシーンは感動的です。

最後の最後、警察官のルノーとの友情の描き方もよかったですね。

それにしても、これがcampだとは。。。。
ジェフ先生の分析にはいつも驚かされます。

いや~、ほんと、かっこいい映画でした。

by oakpark | 2012-06-22 23:32 | 映画

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