今年最初の本♪   

軽い本を一冊読みました。 昨年亡くなった立川談志さんが映画について語った本です。映画評とか読書評といった分野の本を素通りできない。ついつい買ってしまいます。
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2008年に出版された本なので、もうすでに談志さんは病に犯されていたのかしら。この世に言い残しがないように本にしたのかな。 本、というよりも、映画について談志さんが好き勝手に、自分の記憶を頼りに語っていることをそのまま記録した、という体裁をとっています。だから、「~かどうだったかな、記憶が定かじゃないけれど」とか、「たぶん~だったかな」というような、曖昧な表現がたくさん使われています。でもきっと、あっているんでしょうね。まさか、間違ったことを本にするわけないし。

談志さんは1936年生まれ。子供の頃から映画に親しんでいたようなので、登場する映画は古いのが多いです。私の知らない映画も沢山。たとえば、家元(「あたし」と読むらしい)のお気に入り、という章でで名前が挙げられている映画は、「若草物語」「ロアーズ」「オー!ゴッド」「幸福の旅路」「禁じられた遊び」「ガンジー」「素晴らしき哉、人生」「走り来る人々」「バウンド」「のるかそるか」ですって。この中だと私は3つ観てます。「幸福の家路」って映画は日本ではあまり当たらなかったらしい。談志さん曰く、タイトルが悪いという。原題が「Heroes」なのに、日本で「幸福の黄色いハンカチ」があたったものだから、変なタイトル付けられちゃった、ということらしい。この映画評でも談志さんの毒舌炸裂。 サリー・フィールドのことを、「この映画で’泣き節’を覚え、それがアメちゃんにうけ、二度のオスカー。アメリカの客なんざあ、甘いもんだ」ですって。 なるほどね~。若い人に「これは見てくださいよ」というなら、ビリー・ワイルダーの「情婦」だって。ふ~ん。見たけれど、まあ、面白かったけれど、そんなにすごい映画なのかあ。

談志さんが一番好きな映画のジャンルがミュージカルというのも、ちょっと意外でした。その中でも一番に挙げているのが「雨に唄えば」。これは私も大好きな映画なので、うれしかった。あと、おかしいのが談志さん、自分のことを堂々とこの本で「性的に未熟」なんて言っちゃってる。もう70歳を過ぎたおじさんなのにね。こういうの年齢は関係ないのかな。だから、ジョーン・クロフォードとかベティ・デイビスみたいな大人の女優は好みではないらしい。で、好きな女優が、デビー・レイノルズ、ミッツィ・ゲイナー、ヴェラ・エレン、ダニー・カレル、ジューン・アリスンらしい。最初と最後しかわからないよ~。あと、談志さん、「何といってもルイ・ジューヴェ。彼を知らない奴とは話はしない」って言っているけれど、だれそれ?です。私には。

総合すると、談志さんは、古い良きハリウッドじゃないけれど、楽しい映画が好きらしい。最近の小難しいのは好みではないそう。社会派の映画も好みでないらしい。 私も、実は、そう。映画の楽しさはハッピーエンドと思ってます。勉強も兼ねていろんなジャンルの、時には辛い映画も観るけれど、やはり一番ホッとするのは単純で楽しくて、美男美女が出てくる華やかな映画。少々つじつまが合わなくてもオッケーみたいな。暇があったら、ハリウッド黄金時代の古い映画ももっと観てみたい。

そういう時のために、この本は大事にとっておこうと思う。談志さんにはもっと生きて、映画のことも語って欲しかったですねえ。そういえば、昨日紹介した「夜霧よ今夜もありがとう」で、浅丘ルリ子のかっこいい夫役だった二谷英明さんが亡くなりましたね。今朝夫が新聞を読みながら教えてくれたのですが、その昔、まだ私が両親と一緒に住んでいる頃、よく父が「・・・・・が亡くなったんやて。昔綺麗やったのになあ~」と母に語りかけていたシーンを急に思い出し、シチュエーションがあまりにも似ていてちょっと背筋が寒くなりました。。。 そういう年頃になったということですね。

さて、きょう1月8日はご存知エルヴィスの誕生日です。 エルヴィスの曲を紹介しなくちゃ。考えてみると私がエルヴィスに惹かれるのも、歌や容姿もあるけれど、エルヴィス=古きよきアメリカ って雰囲気がするからかもしれない。 難しいことや、ややこしいことを全部チャラにしてしまうパワーがエルヴィスにはあるなあ、と思う。 という訳で今日紹介するのは歌詞がとっても単純なこの曲です♪

女優さんを少しだけして、尼僧になってしまった、ドロレス・ハートがかわいい。映画は、エルヴィスが軍隊に入る直前に撮った映画もの。こういう感じの、リズミカルで波打つような歌い方がエルヴィスの真骨頂だなあと思う。全身がリズムの塊みたい。特に引くときがいい。強弱で言うと、弱の部分ね。弱の部分も丁寧で良い声。昨今は声を張り上げれれいい、というような歌い方をする歌手も多いけれど、私はあんまり好みじゃないんです。どうだ、うまいだろう~、みたいに、声を張り上げられても、ちっとも感動しない。歌手の力量は、「強」の部分じゃなくて「弱」の部分にあると思ってます。エルヴィスの「弱」には味がある、深みがある、伝える力がある~。それにしても、I have young arms. とか I have young lips. とか、変な歌詞。どうせ、私にはありませんよ~だ。

by oakpark | 2012-01-08 22:32 |

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