今年最初の映画♪   

さて、2012年が始動いたしました。 世の中はいろいろ大変。政治の世界は混迷しそうで、経済は相変わらず不安定。我が家は子供たちも思春期真っただ中で、親子の関係も以前より難しくなりそう。

そんな中、このブログでは、今年もどーでもいいことを書き綴っていきたいと思います。シリアスなことは御法度で。中心は、やはり、映画(主にDVD)、本、趣味のテニスなどになっていきそうですね。今年はどんな出会いがあるかしら。

という訳で、2011年最初に観た映画が「ジョニーは戦場へ行った」であります。たまたまシリアスなのを選んじゃいましたが、これには理由がありまして、、、、このことは後で語ることにして、まずは映画の紹介です。
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「ジョニーは戦場へ行った」(Johnny Got His Gun, 1971) 監督・脚本・原作 :ダルトン・トランボ 
出演:ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド、ダイアン・ヴァージ
第一次世界大戦時、アメリカ人の若者ジョーは志願してヨーロッパに出征していく。敵の攻撃を避けようと塹壕に飛び込んだとき爆弾が落ち、目、鼻、口、耳のすべての器官を失うが生きながらえる。研究対象となったジョーは、医師や看護婦の人の行き来を感じながら、祖国に残してきた恋人のことや、父と一緒に出かけた釣りのことなどを思う。 自分が意識があるということを伝えたいと思っていたところに、一人の看護婦がジョーの胸に Merry Christmas と書く。意味が分かったジョーは、わずかに動く首を使って、モールス信号で自分の意志を伝えようとする。ただの肉の塊になったとしても、自分はここに存在しているということをなんとか伝えようとするジョー。 そして、こんな自分でも役に立つことがあるだろうかと考えるジョー。 それを周りの人たちは。。。。

うまくまとめられないけれど、こんなストーリーなのです。タイトルの 'Johnny Got His Gun'は、当時の志願兵募集のポスターにあった言葉、'Johnny, Get your gun'(「ジョニーよ、銃をとれ」)を皮肉っているそうです。銃をとれと言われたからとったら、こうなったよ、ということでしょうか。

さて、なぜ私がこの重い映画を今年最初の作品に選んだかというと、まあ、単に、近所のレンタルショップにあったからなのですが、ここで出会えたということが実はかなりの感動だったわけです。

どうやら去年から今年にかけて、パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン さん(だれ?)が、<Happy the Best>と題して、マニアックな人気を誇るマイナーな作品を安価で復刻させたようなのです。去年の6月、友人に「この映画はDVDにもなっていないし映画館でしか観られないよ。この機会しかないよ」と誘われ、飯田橋のレトロな映画館で観た(というか後半爆睡)、「ハロルドとモード」も復刻されているではありませんか。これ。ほかにもいろいろ面白そうなのがたくさんあるようです。1000円ちょいだし、何か買ってみようかしらん。

で、この<Happy the Best >に見事入選した「ジョニーは戦場へ行った」が、ばーんと、近所のレンタルショップでよく見えるように置かれていて、ついつい、借りてしまったわけです。

というのもですね(長くなりそう)、そもそもこのお話、私は小学校時代に学級文庫で読み、いたく印象に残っているのです。なぜ、印象に残っているのか、どういうお話だったかはつい最近(というか映画を観るまで)忘れていたのですが、きっと小学生の私にとってはじめての「感動するお話」だったのではないかと思うのです。それまではきっと「面白いお話」、あるいは「悲しいお話」はあっても「感動する」はなかったのではないか、と。「ジョニーは戦場へ行った」というタイトルを、だから、ずっと大人になっても良いイメージで覚えていたのです。で、その後、今から約10年前、リヴァー・フェニックスをきっかけに映画ファンになり、リヴァー関連の映画を次々と観ていき、リヴァー最期の作品「愛と呼ばれるもの」(1992)の監督、ピータ・ボクダノヴッチの代表作品である「ラストショー」(1971)を観るにいたりました。私の映画鑑賞は、こんなふうに芋づる式が多いです。で、最初は何を目指していたのかわからんようにもなったりするのです。とにかく、この芋づる式で観た「ラスト・ショー」が私好みの良い映画で、主演のティモシー・ボトムズも私好みの繊細な雰囲気を漂わせている俳優だったから大変。調子に乗ってティモシー・ボトムズの出演作品を調べはじめました。すると、なんと「ラスト・ショー」と同じ年に「ジョニーは戦場へ行った」に出演しているではありませんか。これって、小学生の時に読んだ、あれやん!というわけで、どうしてもこの映画を観たい~と思うようになりました。

ところが、こんなマイナーな映画、近所の○タヤに置いている訳がない。渋谷まで行けばあるかもしれないし、実際今までにも、お目当ての映画を求めて渋谷まで出かけていったこともある。気になっていたし、ティモシー・ボトムズを見たいし、どうしても借りたい~。でも、あるとき、私のこの映画に対する良いイメージに傷がつく事件が起こりました。映画好きのお友達が、「私、あの映画を観てトラウマになったのよねえ」というようなことをどこかでおっしゃっていたのです。え=、そうなの!もちろん、題材が題材だけにかなり酷い映画であることは間違いない。あの、Mさんがトラウマになるなんて、そうとう怖い映画に違いない。怖がりの私に観ることができるだろうか、と急に自信がなくなり、探すことも諦めていたのです。

そこに、今回の<Happy the Best>ですよ。 Mさんの言葉がちらっと脳裏をかすめはしましたが、ひどいシーンは早送りにしようと意を決して借りてきたのでした。で、実際は、こういうもんだとして観ると酷くもなんともなく、早送りの必要はありませんでした。むしろ私はMさんが大好きという、「ゴッドファーザー」のほうが酷いと思うんだけれどなあ~。 が、しかし、小学生の時に味わったであろうような感動は特にはありませんでしたね。あのときは、こういった、人間の命の意義とは、といったテーマが、それが分かっていたかどうかば別にしても、珍しく新鮮だったのでしょうね。

なにはともあれ、ひとつ宿題を終えた気分です。スッキリ!

つけたすと、この映画の原作は、監督、脚本もつとめたダルトン・トランボが第二次世界大戦勃発時の1939年に発表した小説です。反戦的な内容のせいで発禁処分になり、戦後復刊。朝鮮戦争時にはまた発禁になり、休戦後復刊。この映画が作られた1971年はまさにベトナム戦争時。他に監督をしてくれる人もなく自分で撮るしかなかったのでしょうね。トランボはマッカーシーの赤狩りにひっかかり、映画界から追放された人物です。のちに偽名を使って書いた脚本の中にはあの「ローマの休日」もあるんだそうな。

by oakpark | 2012-01-05 21:20

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