朝ドラ「カーネーション」
2011年 12月 28日
『カーネーション』のどこに感心するかというと、いろいろあるけれど、そのひとつに毎回ハズレがないってのがあるかな。朝ドラは短いだけに、ハズレの回が必ずあって、あ~、ここは時間稼ぎだなあと思うシーンもあるけれど、今回はどの回も見どころがたくさんでおもしろいし、どのシーンも意味をもっていると感じる。ネットでも多くの人が書いているみたいだけれど、たった15分の間によくあれだけの情報を入れてまとめられるなあと感心する。今日も、岸和田の糸子の家、山中町の疎開先、奈津と謎の男性のシーン、亡くなった人たちを回想するシーンと盛りだくさんだった。演出が毎回工夫されているのもポイントが高い。 次々と来る戦死通知にいちいち泣かず、だんじりの前でまとめて泣くという手法もよかったし、糸子の子供が摘んできて糸子に渡す花びらの赤が映像的にもきいていて、糸子の心を象徴しているようでうまいなあと思った。さらに、前回でひもじさから盗みをはたらいた奈津を謎の男性が助けるシーンがあったが、今日の回でその男性が「俺は空襲なんてなんもこわない・・」と言ったあとで、奈津の肩に手を回す所作から、この二人の間に何かあったな、と示唆するなんてほんと質の高い演出だと思う。朝ドラだし、NHKだし、セットがどうしてもしょぼい感じはするのだけれど、やっていることはとても高度だ。これで本格的なセットだったら映画みたいだと思う。俳優たちの演技もみなすばらしい。 ふと、このドラマでの糸子は、私の大好きな「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラに似ているなあと思った。糸子が「うちは死なへんでー」と叫ぶシーンが、スカーレットが「私にはタラがある!」と力強く言う、映画前編のラストシーンにかぶった。あれ、オハラって名前も一緒だ。意識しているのかな。
じつは、私はもともと朝ドラはあまり好きではなかったのです。朝ドラ=専業主婦専門って印象だし、どうでも良いことをうだうだとドラマにしているってイメージさえあった。きれい事の善人の世界で、さわやかな朝にふさわしいドラマで、どこか人工的。そんなイメージがあったかも。だから、主婦になってからは極力見ないようにしていた。しかし、今回は見方を変えましたよ。こんなに質の高いドラマが展開されていたとは。
調べると、朝ドラは1961年から始まっているらしい。歴代のドラマのタイトルを見てみると、私の最初の記憶にあるのが「藍より青く」。12才のときだけれど、なぜか見ていたような記憶がある。「鳩子の海」も少し見たな。そのほかは「なっちゃんの写真館」とか「純ちゃんの応援歌」とかタイトルは見覚えがある。「おしん」は有名だけれど一度も見たことがない。いろいろあったのですねえ。こちらのサイトから。この中で、一番しっかり見たのがたぶん「凛凛と」。なぜかというと、その年は結婚して仕事を辞めて家で暇にしていたときだったので。この頃は大相撲も4時頃から観ていましたねえ。ひまだったから。でも、のんびりできたおかげで、職場で発症していためまい(自律神経失調症)が治ったのでした。ありがとう、「凛々と」さん、って気持ちです。それだけに、主演の一人、田中実さんがなくなったというニュースはショックでした。
「カーネーション」は今日で、辛い戦争時代が終わりました。来年は復興、そして店の繁昌、といくのでしょうか。また笑えて、泣けて、ジーンとくる、楽しいドラマを期待しています!
by oakpark | 2011-12-28 21:28 | 雑感