映画 「英国王のスピーチ」   

ずっと観たいと思っていた映画、『英国王のスピーチ』(2010)をやっと観た。
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監督:トム・フーパー 脚本:ディビッド・サイドラー 出演:コリン・ファース、ヘレナ・ボナム・カーター、ジェフリー・ラッシュ、ガイ・ピアース

2011年2月末に発表されたアカデミー賞で作品賞を取った作品。たしか、前評判では「ソーシャル・ネットワーク」のほうが有力とされていたように思うが、私もやはりこちらのほうがわかりやすくて感動的だった。「ソーシャル・ネットワーク」は、私には難しかった~。いまだにFacebook の使い方もわからないし。

ただ、『英国王のスピーチ』は史実に基づく物語だけに、知っている人は知っていたことだろうし(私は知らなかったけど)、何か劇的な事件が起こるわけでもないので、地味といえば地味な映画だ。なのに、アカデミー賞を取ってしまうとは、やはり<イギリス>というブランドの力のなせる業なのではないかと思った。 <イギリスの国王>というだけでなんとなく華がある。しかもその国王が、吃音に悩む内気な王様とは。面白そうで仕方がない。こんな面白そうな題材が、なぜ今まで映画化されていなかったのだろうかと思ったら、こちらのドキュメンタリーDVDで、私の疑問に対する回答が語られていた。
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これは、実際のジョージ6世のスピーチや、ご家族でくつろがれている姿などの映像、『英国王のスピーチ』の監督や英国王室に詳しい専門家による解説を交えたドキュメンタリー作品。 この中で語られていたところによると、脚本家のディビッド・サイドラーは自身も吃音で、同じ悩みを抱えていたジョージ6世の物語を映画化したいとずっと思ってきたが、ジョージ6世の妻であるエリザベス皇太后の許可が下りなかったらしい。エリザベス皇太后は、ジョージ6世が56歳という若さでこの世を去ったのは、本来ならば先王のジョージ5世のあとを継ぐべき兄のエドワード8世が突然退位してしまったことで、ジョージ6世に激務がのしかかったせいであると考えていて、ジョージ6世の死の悲しみをなかなか克服できないでいたらしい。そして、自分が生きている間は映画化はしないで欲しいと思っていたというのだ。調べると、エリザベス皇太后が亡くなったのは2002年なので、そのころからこの映画のプロジェクトが始まっていたのかもしれない。

そういえば思い出すのが、私がアメリカに少しの間住んでいた1992年ごろ、友達になったイギリス人女性の家でテレビを観ていたとき、エリザベス皇太后の誕生日を祝うイベントの映像が映し出され、その友人が、エリザベス皇太后は国民の間でとても人気があると私に教えてくれたことがあった。イギリスの王室について全く何も知らなかった私は、どうして特にこの老婦人が人気があるのか、ちょっと不思議に思った記憶がある。そして今回その謎が解けました。内気であまり身体も丈夫でなく、最初は国民やイギリス政府の閣僚たちに、王様の資質があるかどうか疑問視されていた向きのあるジョージ6世を、天性の明るさで支え、国民に愛される立派な国王育てたのがエリザベス皇太后その人なのです。。確かにドキュメンタリー映像で観るエリザベス皇太后は、愛嬌のある丸いお顔にいつも微笑をたたえていて、とてもおおらかで頼もしい女性のように見えます。方や、ジョージ6世は笑っていてもどこか固いようで、真面目なお人柄がうかがえます。その点では、映画『英国王のスピーチ』のコリン・ファースは人懐っこく見え、エリザベス役のヘレナ・ボナム・カーターは少し気難しい雰囲気があるので、雰囲気だけ取ると逆のほうがいいかも。とはいっても、映画を観るうちにどんどん引き込まれていくのですけれどね。

あと、ドキュメンタリーを観て新たに発見したことは、ジョージ6世の兄のエドワード8世が、離婚歴のあるアメリカ人女性との愛を貫くために退位を決意したとき、意外にも英国民はエドワードの退位に反対の意見が多かったということ。街の人へのインタビュー映像も入っていて、「愛する人と結婚したらいいんだ。退位する必要なんてない」と言っていました。意外にイギリス人ってロマンチストなのね。これが日本だったらどうでしょうね。家柄なんて関係ない。愛する人と結婚すればいい、ってなるかな~。

映画で、ガイ・ピアースが演じるエドワード8世もなかなかよかったです。映画でも実際でも、ウォリス・シンプソンってそれほど美人ではないけれど、きっと何か惹かれる温かさがあったのでしょうね。温かい母の愛を感じさせるようなものが。幼い頃から王になるべく教育を受け、厳しくしつけられて、淋しい思いもしてきた兄弟。昔ほどの勢いはなくても天下の大英帝国の国王だもの。それはそれは、プレッシャーも大きかったのでしょう。それにしても、厳しい父親、ハンサムで女性関係も華やかな兄、兄の尻拭いをさせられる弟、兄弟の中に病気で世間から隠されていた子がいた、ということだけでも、なんとなく、ケネディ一家を思い出しました。少し前にドラマ『ケネディ家の人々』を観たせいなのですが。

そうそう、映画のせりふの中に面白いと思った表現がありました。王になったばかりの兄が相変わらず遊んでばかりいる姿を見て弟が、もっと公務を真面目にやれと苦言を呈する場面。兄が「いろいろと忙しいんだ」というと、弟が「何が忙しいんだ?」(What are you busy about?)と問い詰めたとき、兄が'kinging'って答える。へ~、kingに動詞があるんだって思った。「キンギング」って音もおもしろい。弟が真面目に言っているのに、兄がチョイふざけて返しているようで面白かった。

というわけで、いろいろ楽しめる映画でした。しばらくイギリス王室にはまりそう~。

by oakpark | 2011-09-23 22:59 | 映画 | Comments(10)

Commented by yaya at 2011-09-26 00:41 x
主役の3人ともちょっと苦手なので大画面でなくてもいいと映画館に行きませんでした~(笑)
レンタルもまだ新作で7日借りられないのでまだ未見です。

新聞の前評判では地味だけど他に対抗馬がないので多分賞を取るだろうって書いてありましたね。

>シンプソン夫人
NHKのドキュメンタリーの受け売りですが小さいときからエドワード8世に憧れていていつかきっと、と思っていたらしいのです。
で、初対面の印象を強くするために、パーティで会った彼に「皆さんと同じような質問をなさる殿下にはがっかりしましたわ。殿下ならもっと気が利いた質問をなさると思っていたのに」とのたまったとか(爆)
でもって私個人的にはあまりいい印象は持ってないのです(笑)

エドワード8世は当時のファッションリーダーでもあったらしいですね。
DVD観るの楽しみだわ~♬
ついでにジョージ6世のドキュメンタリーも一緒に借りることにします。でも1冊しか置いてなかったなぁ。
Commented by そしてごっどはんど at 2011-09-26 10:50 x
映画は未見ですが、DVD紹介番組で部分的に観ました。

ライオネル・ローグが吃音症の治療を行うシーンが
斬新というか、面白そうだなと思いました。
小道具や衣装に1920年代、1930年代の
英国の様子が再現されているのも興味深いと思いました。

チャールズとダイアナのウェディングの時、
イギリス王室に関して少しかじったのですが、
今では誰が誰やらすっかり忘れてしまいました(苦笑)
Commented by June at 2011-09-26 22:24 x
♪ yaya さん

主演三人が苦手ですか~。なるほど~(笑)
でも、コリン・ファースは人気がありますね。 テレビ版の『プライドと偏見」でダーシーを演じてブレイクしたと聞いたことがあります。’野生派’のyayaさんのタイプではないかも。 見た目的にはジョージ6世には似ていませんが、周りの人たち(チャーチルとかジョージ5世とか)は似ている俳優を配しているように思いました。

>シンプソン夫人
へ~、子供の頃から狙っていたのですか! 確かに若い頃のエドワード8世はかっこいいですもんね。ちょいと調べると英国の王様って、ちょっとハンサムだとみんな女ったらしのようですね。エドワード8世、ジョージ6世の下に弟が二人いて、一番下の弟がハンサムでやはり女ったらしだったようですよ。

この2本のDVDは隣同士においてありました!
Commented by June at 2011-09-26 22:33 x
♪ そしてごっどはんどさん

>ライオネル・ローグ(や他の言語療法士)の治療
本当にこんなことをしたのかなあ、というのもありました。王様相手の治療って大変だったでしょうね。

>衣装
映画を観たあとでドキュメンタリー番組を観ると、本当によく真似ているなあというのがわかります。1920年代から30年代の女性のファッションで、独特ですよね。王妃様も当時流行のお洋服を着ておられるのがよくわかります。

>イギリス王室
私も、映画などを観たときに、がーっと調べますが、すぐ忘れるのです。よほど好きでいつもそのことが頭にないと、人間ってすぐ忘れるのですよね。 エルヴィスの映画や曲のタイトルがすぐに出てこないときは、ちょっとあせります~。
Commented by yaya at 2011-09-27 00:52 x
>テレビ版の『プライドと偏見」
評判が良かったので観てみました。
確かにダーシー役がコリンファースには合ってたようですが、作品としては映画のほうが断然好きです。
コリン・ファースの苦手理由は彼の声なんです。。。あの甲高い声はちょっと苦手(爆)
でもシングルマンでは割りと低かったのよね(笑)
Commented by willow42 at 2011-09-27 22:14 x
これ、私も今度見よう~~。エドワード8世はガイ・ピアースがやってるのね。
ガイ・ピアースって『L.A.コンフィデンシャル』のときよかったのよね。あの映画に
出てるひと、全部良かったけどね。

>ウォリス・シンプソンってそれほど美人ではないけれど

私もずっと思ってました。英国人の男性って、地位が高いほど女性の容貌
を重んじないって、なんかの本で読んだことあるんだけど、本当でしょうか?
顔よりも才気のほうが大事らしい。そういえばカミラさんも全然美人じゃない。。。
シンプソン夫人のジュエリー・コレクションってすごいよね。

イギリス王室って、日本の皇室に比べるとずいぶん自由そうでいいじゃないかと思います。
Commented by ランレオ at 2011-09-27 23:14 x
僕も、先週この映画を見ました。よかったです。

一番の感想は、やはり伝統のある王室があるって、いいですね。
悪いけど、歴史の浅いアメリカにはない。この映画、王室がない国の方には完全には理解できないんじゃないかな。

日本にも天皇家があるし。
願わくば、国の象徴としては、美形の遺伝子を注入してほしいなと思います。
海外の式辞等に出席されている映像を見ると、絵的には、やっぱりかっこいい方がいい。





Commented by June at 2011-09-28 21:55 x
♪ yaya さん

お~、テレビ版もご覧になったのですね!
そうですか。映画のほうがよかったですか。やはり映画のほうが短時間に凝縮されているだけに「芸術作品」としての完成度は高いのかもしれませんね。 

>声
そういえば、コリン・ファースの声は〈渋い低音〉というのとはちがいますね。でも、だから、ジョージ6世役に抜擢されたのかなと、今思いました(笑)。ドキュメンタリー番組では、〈やさしい人柄〉が役にぴったりだ、と語っていましたが、本音は違うのかも。番組を観ればわかりますが、ジョージ6世も、お兄さんのエドワード8世も、少し高めの、少しやさしげな(たよりなげな?)声をしています。 声って大事ですよね。
Commented by June at 2011-09-28 22:04 x
♪ willow 42 さん

willow さんもぜひ観てみてね。
ガイ・ピアース、渋くて、しかも、母性本能をくすぐる感じで(そう演じているのかな)よかったですよ! でもこの二人が兄弟なんてありえない~と思えるほどの似てなさ、でした。

>シンプソン夫人
ジュエリーコレクション、のことは知りませんでした。そんなにすごいの?趣味はいいのかしら。
二人は最後まで一緒だったのだから、やはり、生涯の伴侶といえるほど、ウマがあったのでしょうね。 今ふと、ジョン・レノンとオノ・ヨーコを思い出しました~。
Commented by June at 2011-09-28 22:16 x
♪ ランレオさん

ランレオさんもご覧になったのですね! レンタルショップでもかなりの人気でしたよ~。

伝統と格式は、守っていくのは大変だろうけれど、やはり、ある種の美しさがあっていいですね。ドキュメンタリー版のほうには、ジョージ6世の戴冠式の映像が入っていますが、それはそれは、豪華で厳かなかんじでした。 

調べていると、若き昭和天皇とエドワード8世(お兄さんのほう)が、和やかな雰囲気で歓談している写真がありました。二人は晩年に再会しているようです。どんなことを話されたのでしょうね。長男としてのプレッシャーとか、かしら。

ウイリアム王子にも日本に来て欲しいなあと、ふと思いました。

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