「くよくよするなよ」 Don't Think Twice, it's all right   

美しい人の訃報です。

私の大好きな曲、ボブ・ディランの「くよくよするなよ」(Don't Think Twice, it's all right)が入っているアルバム、『フリーホィーリン(Freewheelin')』のジャケット写真で、ボブ・ディランの腕につかまり微笑むかわいい人、当事のボブ・ディランのガールフレンドで、「くよくよするなよ」をはじめ何曲かにおいてボブ・ディランにインスピレーションを与えた、ボブ・ディランのミューズだった女性、スーズ・ロトロさんが2月24日に67歳で亡くなったらしい。
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 このアルバムとの出会いはこちらに書きましたが、とにかく大好きな写真なのです。構図といい、色合いといい、二人の身体の動きといい。ボブ・ディランのほうが、少し恥ずかしそうな表情でうつむいていて、スーズさんは幸せそうな笑顔。彼の腕にしっかりとつかまって心も身体もあったかそう。この写真を見て私が思ったことは、こういう瞬間が、誰にでも長い人生の中一度は必要だってこと。そして、一度でもこういう瞬間があったら、その思い出を大事にしまいこみながら、現実の人生を正しく歩んでいけそうな気がするってこと。見ているだけ幸せな気分を味わわせてくれるパワーのある写真だなと思う。

この写真が撮られた1961年当事、ボブ・ディランは20歳で、スーズさんは3歳年下の17歳だったそう。年下だったけれど、社会運動に熱心な両親の元で育ったスーズさんのほうが精神的に成熟していて、ボブ・ディランにいろんなことを教えたそうだ。その後、どんどん有名になっていったボブ・ディランの付属物のような存在になるのを嫌ったスーズさんは徐々に離れていったそう。でも、彼女の存在はきっと、その後歴史に残る偉大なアーティストに成長したディランにとって、忘れがたいほど大きかったに違いない。そして彼女の笑顔は東洋の小さな国で平凡な人生を歩むこの私にも強い印象を残してくれた。この世にすばらしい足跡を残したスーズさんのご冥福をお祈りしたいと思います。紹介するのはもちろん「Don't Think Twice, it's all right」。ボブ・ディランがスーズさんのことを想って書いた曲だそう。 軽快で物悲しげなギターの前奏が始まったとたん、心にさざなみがたつような感覚に襲われる不思議な魅力のある曲。


この曲が流れる、『恋のドッグファイト』の私の一番好きなシーンがあったらよかったのだけれど。でもこのシーンもいいの。トレイラーはこちら

そうそう、この曲をエルヴィスが歌っているけれど、なぜかカントリーっぽくなっちゃう。さらに軽快で明るい感じ。でもこれはこれでいいかも。名曲です。こちら。きっとエルヴィスはボブ・ディランが好きだったと思う。他にも 「Tomorrow is a long time」や、「Blowin' in the Wind」を歌ったりしているから。

私にとって、すごく好きってわけではないけれど、なんとなく気になるボブ・ディラン。 今は『ボブ・ディランのルーツミュージック」という本を少しずつ読んでいます。それと20歳のときに出演したラジオ番組がそのまま収録されているというCDをアマゾンで注文しました。ちょっと楽しみです。

by oakpark | 2011-03-01 00:39 | 好きな曲

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