camp な映画   

楽しみに通っているカルチャーセンターの映画講座ですが、今回のテーマは<camp な映画>
はてさてcampってどういうことなのでしょうか。 以前、この単語には, ロックグループのQueenのボーカリストだったフレディ・マーキュリーのことをあれこれ調べているときに出会ったことがあります。フレディのことを形容するのに camp と flamboyant という単語がしょっちゅうでてきましたっけ。

改めて手元にある英和辞典ジーニアスで引いてみると 「1 (わざと)めめしい 2 こっけいなほど風変わりな(気取った、古めかしい) 3 同性愛の」とあります。 英英辞典のコウビルドには'If you describe someone's behavior, peformance, or style of dress as camp, you mean that it is exaggerated and amusing, often in a way that is thought to be typical of some male homesexuals.' とあります。なるほど、フレディはcamp そのものだとわかります~。

でも、映画となるとどうでしょうか。どういう映画がcamp だといえるのか。そこがとっても不思議。なんたって1回目に取り上げられた映画は「モロッコ (1930)」だったのですから。
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     監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ  出演:ゲーリー・クーパー マレーネ・ディートリッヒ
これのどこがcamp なんだ? 普通の男女の恋愛映画に見えたが。 無表情で言葉数の少ないマレーネ・ディートリッヒが神秘的でかっこいい。一度でいいからあんなふうに振舞ってみたい、なんてね。 沈黙が怖くてすぐにぺらぺらしゃべっちゃう私には到底無理な高度なわざだわ。 男装して歌うマレーネもよかった。貫禄十分で、一人ですべての観客をひきつける力を持つ人。ゲーリー・クーパーは典型的な男前。この映画ではやんちゃな色男を演じていました。で、魅力的で素敵な映画ではあったわけだけれど、これのどこがcamp なの? ゲイの人たちが出てきたわけでもないし~。

講師のジェフ先生いわく、camp な映画を見分ける要素は主に三つあるとのこと。まずおおげさであること。次に表に見えている部分と裏の本当の姿が違うこと。そして二つ以上の意味にとれること。「モロッコ」の場合、冷静で動じなさそうに見えたアミー(マリーナ)が、恋人(ゲーリー)が戦争で負傷したと聞き、よよと泣き崩れるシーンがcamp なんだそうだ。 へ? これくらい普通のような。さして大げさすぎるとも思わないけど。よくわからない。

2回目の作品はミュージカルの「碇を上げて (1945)」。
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大歌手フランク・シナトラとダンスの名手ジーン・ケリーと名花キャサリン・グレイソンが織り成す楽しいミュージカル映画ではないか。これのどこがcamp なんだろう~。ジェフ先生いわく 水夫(sailor)を主役にしたこと自体がすでにcamp なんだそうだ。水夫はポパイに象徴されるように「強くたくましい」イメージと、セーラーカラーのユニフォームのキュートさを併せ持つ存在だからだ。フランク・シナトラ演じる気弱な水平クレアランスが色男のジョー(ジ-ン;ケリー)のあとを金魚の糞のようについていく場面や、朝寝をするジョーをクレアランスがニヤニヤしながら見つめている場面など、たしかにゲイっぽい雰囲気を感じないでもない。でも、言われないとわからないよ~。

それよりこの映画の魅力といえばジーン・ケリーのダンス。ジーン・ケリーの男性的で切れのあるダンスが素敵。この人のターンは本当に軸がしっかりしている。体幹が強いんだろうな。そしてフランク・シナトラが若い!まだそんなにふてぶてしそうじゃないし。めずらしく恥ずかしがり屋で小心者という人物を演じている。なんたって1945年の映画だもんね。え?1945年といえば終戦の年じゃない。戦時中にこんなノーテンキなミュージカルを作っていたのかアメリカは。う~む。でも、よく見ればシナトラ、若いといってもそれなりの年齢のようでもある。調べてみるとこのときすでに30歳。え、ってことは、テレビでエルヴィスと共演したあの時は何歳だったんだろう。これですよ。

シナトラがエルヴィスのヒット曲「ラブ・ミー・テンダー」を歌い、エルヴィスがシナトラの「ウィッチクラフト」を歌っています。シナトラが肩を上下しながら We work in the same way, only in different areas.
(ぼくたち同じようなことをしているね。違う場所だけれど)と言っているのは、たぶん、エルヴィスが' Elvis the Pelvis'(腰ふりエルヴィス)と言われたことで有名だったので、肩を動かしながら、違う場所(身体の部分の)を動かしているよ、と言ったのではないでしょうか。違っていたらごめんなさい。

で、1960年のこのとき、エルヴィスは25歳でシナトラはなんと45歳ですよ! なのに、エルヴィスがこの世を去ったのはずっとずっと昔(私が高校生の頃)で、シナトラはつい最近(次女が生まれたころ)だなんて!それが驚きでした~。 ちなみにシナトラは82歳で、ジーン・ケリーは83歳で、キャサリン・グレイソンは88歳で亡くなっています。この映画の出演者はみんな長生きだったのね。

このあとは、「オズの魔法使い」 「雨に歌えば」が取り上げられる予定ですが、どちらも素敵な楽しいミュージカル。どこがcampなのでしょうね。 でも、ジェフ先生が興味深いことをおっしゃっていた。男性のゲイの人は自己紹介で自分がそちらであると相手に知らせるために「ミュージカルが好き」って言うことがあるんだって。じゃあ、そうじゃない男性はおちおちミュージカルファンだなんて言えないですね。

それにしてもすっきりしないな、camp って概念。 子供が同じバスケチームに所属するアメリカ人のお友達にこの単語のことを聞いてみると知らなかったもの。 特にそういうサブカルチャーに興味のないアメリカ人にとってはなじみのない単語なのかも。camp な映画、私には見分けられそうにないっす。

by oakpark | 2010-11-07 01:44 | 映画 | Comments(0)

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