小学校での本読み   

小5の次女の小学校に「朝の本読み」に行ってきました。
読んだ本は、壺井栄の「二十四の瞳」です。最初は川端誠の落語絵本「おにのめん」で、久しぶりに大阪弁を爆発させてこようと思ったのですが、次女の「そんな子どもっぽい本はいやだ」の声でぼつになり、宮沢賢治の「よだかの星」とどっちにしようか迷いに迷ったあげく、自宅で音読してみて会話が多く読んでいて楽しい「二十四の瞳」のほうにしました。

この、小学校での父兄による「朝の本読み」ですが、長女が小2のときに、同じクラスのあるお母さまの提案で始まりました。当事、クラスの雰囲気がぎすぎすしていると感じられたそのお母さまが、本読みで朝の穏やかなひとときを持つことによって、思いやりのある温かいクラスになればいいなあと考えられて提案されたと記憶しています。開始からかれこれ10年が経つわけですが、最初のころこそ、多くのお母様がたたちが参加され、わが小学校の名物イベントのようになっていたのですが、最近では本を読んでくださるお母様方が減少してきて、立候補ではなかなか人が集まらなくなってきていました。

実は私も、しばらくずっとやっていなかったのですが、今回はどうしてもと頼まれ、引き受けることになってしまったのでした。高学年の本読みは特に難しいです。長男が5年生のときは重松清の「きみの友達」を読みましたが、退屈そうにしている男の子たちもいましたっけ。

だから今回は、子どもたちにあわせるのではなくて、自分が読みたい本、あるいは、自分が子どもの頃に好きだった本を読みたいと思っていました。大阪弁の「おにのおめん」が却下されたあと、自分が小学生の頃に好きだった本を思い浮かべました。「いやいやえん」(これはさすがに幼すぎるだろうな)、「次郎物語」、「エーミールと探偵たち」、「スプーンおばさんの冒険」などなど。小学生の頃はバスに乗って(大人料金30円、子ども料金15円だった)、週一度ペースで大きな図書館に通っていました。 少し薄暗くて、近寄りがたい雰囲気の図書館が、なんとなく好きでした。ここにくると、ちょっぴりえらくなったような、大人になったような気分になったものです。小学3,4年のときの担任の先生が国語に力を入れていた先生だったので、この頃一番よく本を読んでいた気がします。夏休みの課題図書のタイトルも覚えているな。「リコはおかあさん」とか、「千本松原」とか。その先生を尊敬していた母も、背伸びして文学少女を気取り、高村光太郎の「智恵子抄」を一緒に読んだりしましたねえ。「東京には空がない。。。。」という詩(?)が衝撃的でした。

今回、何を読もうかなと考えたときにまず浮かんだのが「よだかの星」でした。子どもの頃、このお話に感動し、力作の読書感想文を書いた記憶があるのです。そのときの私と同じ年頃の小5にはきっと受けるはずだと思い、再読してみたのですが、不思議なことに今回はちっとも何も感じない。あれ、これだけだっけ?というのが最初の感想。外見がみにくいよだかが他の鳥たちにいじめられ、鷹には名前を変えろとまで言われ、自分は悪いことは何もしていないのに、どうしてこんな目にあうのだろうと悩む。そして空に助けを求め、高く高く飛び続け、最後は星になるというお話。だから?あ~いかん、いかん。子どもの頃の感性を失ってしまっている。きっと、この文章、この言葉の中にこそ、宮沢賢治の描く美しい世界観が反映されているはず。な~んて思うのですが、やはりどうしても感情移入できず、今回は「朝の本読み」に採用するのはあきらめました。でも、本当はいい話なんですよね、きっとそのはずです。。「よだか」なんて鳥がいることを知ったのもこの話のおかげ。宮沢賢治の小説には、いろんな不思議な生き物が登場しますよね。ほんと、不思議な世界です。
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で、そのかわりに思いついたのが、やはり子どもの頃に大好きで、その後大人になって映画を観て、涙涙で感動した「二十四の瞳」でした。ちょうど二日前が太平洋戦争開戦の日で(本読みは12月10日でした)、この物語に登場する子どもたちが、戦争中は20代前半の若者盛りになるということを説明すれば、物語の舞台になった時代を感じてもらえるだろうし、小豆島は私の両親の生まれ故郷の大三島と同じ瀬戸内海の島でもあるわけだから、島の美しさも説明できるかなと考えました。同じ日本で、こんなに貧しい時代もあったことも今のこの子達に伝えたいし。この小説で、一番印象に残っているのは、アルミのお弁当箱が欲しいのに買ってもらえない女の子のエピソード。先生がその子にお弁当箱をプレゼントしてあげるシーンでは涙があふれましたっけ。戦争で失明し、クラスメートの写真を指でなぞる男の子もいたなあ。時代に翻弄されたいたいけな子どもたち。。。

というわけで、当日は中国地方の地図の拡大コピーで小豆島の位置を示し、時代についても少し語ってから本を読み始めました。時間がなくて、ほんのさわりの部分しか読めなかったけれど、会話部分は出来るだけ楽しげにがんばって読みました。方言も私にはそれほど違和感はないので、がんばって強調しました。。「二十四の瞳」の時代と今とでは違いすぎるけれど、学校は楽しいところだ、友達がいて、先生がいて、知らないことに触れることが出来て、おこられたり、ほめられたり、けんかしたり、いろんなことが起こるけれど、自由でいられる楽しいところだと、みんなに知ってほしいなあと思いました。最近の子どもたちは、塾とか習い事とか忙しいけれど、やはり、基本は学校。学校を楽しまなくちゃ、と思いますもの。私の思い、どれくらい伝わったかしら。

次女が帰宅後に言った第一声は「けっこうみんなよく聞いていたね。おかあさん、あんな地図いつ用意したの?」でした。次女の話から推測するに、お話の内容より、私が小道具を用意していたことにみんな驚いたみたい。でも、反応は悪くなかったようなので気をよくした私、「よ~し、来年は大阪弁の本を読むぞ!」と言うと次女は「え! 来年もするの?」といやそうでした。

ちなみに小説も良かったけれど、美しく映像化された映画もよかったですねえ。私が観たのは、高峰秀子主演の一番最初のもの。「でこちゃん」というあだなだったそうですが、高峰秀子がかわいかったです。子どもたちもみんな熱演でした。お薦めの映画です。
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by oakpark | 2009-12-12 21:25 | | Comments(6)

Commented by willow42 at 2009-12-13 14:05 x
本読み、お疲れさまです。地図まで用意して、素晴らしいです。
「朝の本読み」は、そういういきさつで生まれたのですね。知りませんでした。
私は大勢の前で何かをすることがとても苦手なのでとてもお引き受け
できませんが、やって下さっているお母様方には感謝しています。

>子どもの頃の感性を失ってしまっている

↑こういうこと、ありますよねー。子どものときにはあんなに感動したのに…
と、今大人になって再感動できない自分にガッカリします。

『二十四の瞳』は、私も高峯秀子主演のを見ました。
子ども時代と大人になっときの面差しがみんなすごく似ていて、驚きました。
アルミのお弁当箱の話は、私も感動しました。
Commented by ユッキー at 2009-12-13 16:06 x
はい、わたしも、高峰秀子の二十四の瞳、観ましたよ。高峰三枝子と秀子見分けがつかなかったけど・・・あとで、はっきりしてきました。三枝子はJRのCMで温泉につかってるのが有名になりましたもんね。
そうですか、朝の本読みが学校であるのね、しかも、先生でなくて親が読むっていいアイデアだわよね。ほんと、さすが、元先生ですね、地図を示したってとこが興味を持たせるきっかけになったと思う。本はいいですよね、だれかれの差別なく、読みたいものが読める。年取ったら、断然、読書の習慣があったほうが良いです、毎日が退屈しないです。
Commented by hiromi at 2009-12-13 21:08 x
わー、yちゃん、きっとお母さんのこと誇らしく思ったと思うわ。
すごい嬉しかったでしょうね。

自分のことを振り返っても、読書が苦手な子というのは、想像力が小さいのだと思うの。今の自分と同じ環境ならそれなりに物語の中に入っていきやすくても、時代や年齢が違うともうそれだけで、オレには関係ない話ってなっちゃうんだなー。
あのね、私、こどものころに「よだかの星」学校で読んだけど、「あっそー」オンリーでした(笑) 鳥ってところからして、どうでもよかったわー(笑)

そして考えるとそもそも小説 物語ってのがどうでもよかった。だって私の話じゃないもん。
実を申せば、「二十四の瞳」は読んだことないよ。

だからね、地図を見せたり、瀬戸内海の島のことを説明したりってのは、そういう私みたいな子にはめっちゃ親切な「リード」になったのだと思います。
先生じゃなくて、友達のyちゃんのママってところが、また子供達にはフックになるのでしょうね。
お母さんの朝の本読み、これからも続いていくといいですね。
小説でないものを読むお母さんもいるのかな?
私だったら何を読むだろうと考えました。
Commented by June at 2009-12-14 00:15 x
♪ willow さん

本読み、行ってきましたよ~。
ちょっとだけ緊張したけれど、みんな静かに聞いてくれました。
でも、大勢の前で本を読むのって、勇気いるよね。
どんな子がいるかわからないし。いくら相手が子どもでも、「ちぇっ、そんな本か」とか(たとえばだけれど)言われると、気持ちが萎えるしね。
今回私は、子供たちの反応を見ないようにして、ひたすら文字を追い、作品世界に入り込もうとしました。そのほうが楽だから(笑)。

>子どものときにはあんなに感動したのに
そうなのよ~。実は「エーミールと探偵たち」もそうだったの。子どもの頃、あんなにわくわくしながら読んだのに、大人になって読むと普通でした。
でも逆に、大人になったから、とか母親になったからとかで、研ぎ澄まされた感情というのもあるかもしれないよね。映像で兵隊さんを見るたびに
「息子があの境遇だったら・・・」と胸が締め付けられるもの。

>子ども時代と大人になっときの面差しがみんなすごく似ていて
へ~。そうだったっけ。きっと一生懸命似ている俳優さんを見つけたのだろうね。
Commented by June at 2009-12-14 00:22 x
♪ ユッキーさん

わたしも、この映画で「秀子」と「三枝子」の区別がはっきりしましたよ。秀子のほうがかわいらしい雰囲気で、三枝子のほうが大人っぽい雰囲気ですよね。あの、JRのCMは印象的でしたね~。

>朝の本読み
一時、全国的にブームのようになって、新聞などでもよく紹介されていたように思うのですが、最近はどうなのでしょうね。低、中学年は、絵本を読みますが、絵本好きのお母さんも多いみたいです。本好きになると、人生が豊かになり、退屈しいないっていうのはあるかもしれませんよね。タイでは日本の本は手に入りますか? 今年のベストセラー第1位はダントツで「1Q84」だったみたいですね。
Commented by June at 2009-12-14 00:32 x
♪ hiromiさん

最近はYも思春期の入り口で、私が学校に行くの、あまり歓迎してくれなくなったのよ。ついこの前までは、おかあさん、おかあさん、とすりよってきていたのにね。

>鳥ってところからして、どうでもよかったわー
あははは~。たしかに自分とちゃうわ。
私も大して想像力が豊かではなかったと思うけれど、よだかってかわいそう、と思ったのだと思うのですよね。でも今読むと、これって自殺を奨励しているわけじゃないよな。。。ってへんにかんぐってしまう。心が汚れちまっているのかも。

>二十四の瞳
実は私も、子供向けではない、フルバージョンを読んだのは結構最近なんだ。で、これは、大人の私も、とても感動しました。 というか、自分が子どもを持っている今だからこそ、なおのこと感動したのかも。機会があったらぜひ読んでみて。映画でもいいよ。楽しい気分になるわけではないけれど、今の恵まれた時代に感謝して、前向きに地道にがんばろうという気分にさせてくれる小説です。

「朝の本読み」があったとして、hiromiさんだったら何を読みますか?

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