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映画「マダム フローレンス! 夢見るふたり」   

とても素敵な映画でした。3月のアカデミー賞で、主演のメリル ストリープがノミネートされ、「またあ?」と思ってしまったし、ヒューグラントと夫婦なんて変なの、と思ったし(メリル のほうが11歳年上)、きっと、この二人が芝居がかったプロフェッショナルな演技をするんだろうなあ、と思った。新鮮味がないだろうな、と思ってしまった。 ところが、ところが、すごくよかったのです。メリル ストリープがさすがの、でも嫌みのない演技で、ヒューグラントが、え、こんな渋い演技もできるの?という円熟の味を出していた。そして、さらにうれしいことは、お気に入りの米ドラマ「ビッグ バン セオリー」で主演4人のうちの一人、ハワードを演じているサイモン ヘルバーグ がとても重要な役でこの映画に出ていること。出世したのね! と感動したと同時に、やっぱりね、と思った。「ビッグ バン セオリー」でも、素晴らしいコメディセンスで演技力を発揮していたもの。そのほかのキャラクターもみんなドラマの中で重要な持ち味を出していて、とてもよくできたドラマでもあると思った。
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「マダム フローレンス! 夢見るふたり」(Florennce Foster Jenkins, 2016)
監督: スティーブン・フリアーズ 出演:メリル・ストリープ、 ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ、 レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ


以下 ネタばれあります。

実話を基にしたストーリーで、とっても音痴なのに音楽を愛するお金持ちの女性が、病に負けじと、周りの人を巻き込みながら、自分の夢を追い続けるお話。夫であるシンクレアもオーディションで選ばれたピアノ伴奏者のコズメも、ボーカルコーチも、きっと最初はお金につられてマダムフローレンスと付き合うことになったのでしょう。でも、ボーカルコーチはさておき、シンクレアとコズメの場合、その不純な動機が本当の愛へと変化していく。こういう愛の形もあるんだなと考えさせられる。なぜ、シンクレアがこれほどまでにフローレンスのことを愛するに至ったかはよくわからないが(映画ではすでに確立した愛が描かれている)、フローレンスの魅力はコズメの心境の変化からうかがい知れるのだ。最初は、「なんでこんなに歌の下手な人の伴奏をしなくちゃいけないんだ?」という気持ちが表情にありありと出ていて、なんとかお金の力で引き止められていたのだが、フローレンスが、自分の歌をレコードにし、寸分の疑いもなく完全なる良心から、そのレコードをコズメの自宅にもっていくシーンで状況が変わってくる。フローレンスは、散らかった部屋を見るなり、洗い物をしてあげようと申し出、自分の子供のころの夢、ピアニストになりたかった夢を語りはじめる。梅毒で不自由になった手で、ぽろりぽろりと鍵盤をたたき始めると、静かに自然にコズメが伴奏に加わる、、、、このシーンはとても感動的だった。フローレンスの音楽への愛、純粋さ、人を引き付ける魅力を表現しているシーンだった。ほかにも素晴らしかったのが、実業家スタークの、一見軽そうに見える若い妻。小難しい音楽の理論なんて何も知らない、音楽素人だけれど、人間として素晴らしい資質を持っている女性として描かれていた。

観終わって、勇気づけられた。
最近、自分には何のとりえもないなあ、小学生のころはなんにでもなれそうな気がしていたのに、とちょっと落ち込んでいたが、好きなことを突き進めばいいんだ、と背中を押された気がした。うまくできなくても、「やった」という事実が重要なんだ。最後のフローレンスのセリフがこんな感じだった(正確には聞きとれていません)
Though everyone said I couldn't sing, no one could deny I sang.

あしたからもがんばろう。

by oakpark | 2017-09-15 21:14 | 映画 | Comments(0)