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映画「陽のあたる場所」( A Place in the Sun, 1951)   

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監督:ジョージ・スティーヴンス  出演:モンゴメリー・クリフト エリザベス・テイラー シェリー・ウインタース

少し前の日記に書きましたが、石川達三の「青春の蹉跌」を読んで以来、この映画のことが気になっていました。以前にも観た事があるのですが、細かい部分をかなり忘れていたので、はじめて観るような感覚で、楽しむことができました。 映画って、それを観るときの自分の状況や、その時点でのほかの映画の鑑賞暦で、かなり感じ方が違うのかもしれません。この映画を最初に見たときは、映画に関する知識はほとんどなく、ただただストーリーをおっていただけのような気がします。 だから、「青春の蹉跌」と同じような話だったなあ、とおぼろげに覚えていたのですが、実際映画を観てみると、人物設定やストーリー展開は似ているのですが、人物の描き方はかなり違っている印象を受けました。もちろん、小説と映画という違いも大きいのですが。

大まかなストーリーは、野心家で才能もあるが貧しい青年に金持ちの親戚を頼って仕事に就き(あるいは学費を出してもらい「青春の蹉跌」)、一生懸命働くうちに(勉学に励むうちに)、自分と同じように貧しい家の出の学はないが一途に自分のことを想ってくれる女性に出会い、関係を持ってしまう。その後、彼女の妊娠が判明する。そんなときに青年は金持ちの親戚の知り合いの上流社会の美しい女性に出会う。彼女も青年が好きになり求婚する。妊娠してしまった娘は青年に結婚を迫るが、娘のことが邪魔に思った青年は彼女を殺害することを考えるようになる。

「青春の蹉跌」のほうでは、主な登場人物(野心家の青年、上流階級の女性、貧しい女性)が、すべて、計算高い人物のように思えて、あまりいい気分がしなかったですが、この映画では、三人がそれぞれ、愛情を持って真摯な態度で生きている若者であり、打開策のないどうしようもない状況になっていくにつれ、切ない気持ちでいっぱいになってしまいました。三人を演じた俳優がまたすばらしいです。青年役のモンゴメリー・クリフトは、ちょっと猫背だけれど、かっこいい。陰のあるハンサムですね。あんな人が女ばかりの職場にいたら、そりゃあ、目立つだろうなあ。アリス(貧しいほうの女性ね)の肩を抱き、ちょっと不良っぽい感じで歩く雰囲気も良かったな。アリスを演じたのはシェリー・ウインタースという女優さんですが、当事は「華やかな雰囲気の女優」だったそうです。それなのに地味でおどおどしたかんじをよく出していました。アリスの家の前での二人のぎこちないキスシーンがリアルでよかった。上流社会の女性役のエリザベス・テイラーは美しいのひと言です。この映画のときは17歳だそうで、目も鼻も口も輪郭もほんとかわいらしい。モンゴメリー・クリフト演じる若者ジョージに恋焦がれる様子が初々しくてよかった!彼女は別にジョージを横取りしようと思ったわけではないのよね。目の前に現れたハンサムな青年に恋しただけ。二人の最初の出会いのシーンでビリヤードをするモンティはかっこよかった。アンジェラ(エリザベス・テイラー)がひと目で恋に落ちたのもわかるかっこよさでした。

この映画、原作は1925年に出版された、セオドア・ドライサーの「アメリカの悲劇 An American Tragedy」という小説です。私はよんでいませんが。でも、野心家の青年の青春の夢と希望の挫折の物語と来れば、スコット・フイッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」になんとなく似ているなあと思いました。調べてみると、偶然なのか、「華麗なるギャツビー」(The Great Gatsby)も1925年に出版されているのです。1920年代って、世間にそういう空気があったのでしょうか。階級社会のイギリスと違い、階級を超えて出世できることができるかもしれないという夢を抱くことができたアメリカならではの物語なのかな、と思ったりもしました

当事、17歳のエリザベス・テイラーと29歳のモンゴメリー・クリフトはこの映画で仲良しになり、モンゴメリー・クリフトが45歳で心臓発作でこの世を去るまで二人の友情は続いたそうですね。モンゴメリー・クリフトの、ほかの映画といえば、私は「地上より永遠に」が印象深いです。ここでの演技も良かったです。かなりの実力派の俳優さんなんだと思いました。

美しい美しい17歳のエリザベス・テイラー
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by oakpark | 2009-03-30 19:54 | 映画 | Comments(9)

アメリカ関連本   

アメリカという国に、やはり、興味があります。物心がついて初めて意識した外国がアメリカで、ずっと淡い憧れの気持ちを持っていました。もしかしたら、絵画が好きならヨーロッパ、漢字が好きなら中国、映画が好きならもっといろんな国、に興味を持ったのかもしれませんが、子供時代の私は狭い世界の中に生きていて、興味の対象を広げるきっかけも、そういう気概もなかったです。前にも書きましたが、たまたま父が「英語に憧れる人」だったので、その影響を大きく受けたのだと思われます。ただし、父はアメリカではなく英語の本場、イギリスが好きでしたが。

アメリカには今まで新婚旅行も含めて10回ほど行きましたが、滞在期間は1年半くらいかな。そのうちの1年5月は乳飲み子を抱えての生活で、外の世界との交渉はほとんどなく、アメリカを知るというところまでには全く至らなかったので、いつまでも憧れの対象であり続けているのかもしれません。。でも、その後、アメリカのことを知れば知るほど、不思議な国だなあと思うようになりました。大人っぽくもあり子供っぽくもある国、自由があるようで、実は犯してはならない領域もかなり大きい国、新しいようで意外に古い価値観にも縛られている国、というのが今のところの私の印象。10代の頃は、ただただ楽しい国のように思っていましたが、実際生活をしてみると、人種差別などのいやな思いも経験しました。それでも、アメリカのことを嫌いにならず、憧れの気持ちを持ち続けているのは、やはり、「初恋」の相手だからかなあ、と思います。

私がはじめてアメリカに行ったのは、建国200年のとき。へんな言い方ですが、実際に生で黒人の人を見たのもそのときが最初でした。シカゴのスラム街はちょっと怖かったな。その30年後には、そのシカゴから、黒人の大統領が登場することになるとはおどろきです。 これからもアメリカはどんどん変化するでしょう。どんなふうに変化していくのか楽しみでもあります。そんなときに、タイトルにひかれて買った本がこれです。

「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」   町山智浩著
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アメリカ在住で、かなりのアメリカ通の著者が、大胆な辛口で、アメリカの弱点をあばいている本です。いかにアメリカ人が無知であるかとか、いかにブッシュ前大統領に振り回されてしまった国であるかとか、共和党、民主党のそもそもの違いは、などなど。先日の大統領選のメディアでの戦いの裏話なども書かれていて、なかなか興味深い内容です。知っていることもありましたが、多くは、へ~~、という話ばかり。町山氏と同じくらいアメリカ通の人でも、諸所の事情を考えてここまでは書けないだろうな、ということまで書かれています。今のアメリカの実態(とはいってもごく一部でしょうが)を知りたい方にはお勧めです。私は、この本を読んで、マケイン氏って立派な人だったんだな、と思ったりもしましたよ。

町山智浩さんというかたは、かなり斬新で痛烈で痛快な文章を書かれる方なのですが、以前に私はこういう本を購入していました。
「〈映画の見方〉がわかる本」  町山智浩著
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この本を購入したときは、表紙のこの気色悪い人が、スタンリー・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」の主人公、アレックスだなんて、全然知りませんでした。映画のことがわかる面白そうな本だと思って買ったのですが、実は「映画上級者」向けの本で、当事は半分くらいしかわかりませんでした。(今も6割くらい?1割しか増えてない!) だって、取り上げられているのが〈2001年宇宙の旅」、「卒業」〈俺たちに明日はない」〈イージー・ライダー」「猿の惑星」「時計仕掛けのオレンジ」「地獄の黙示録」といった、ニュー・シネマとよばれる、ひとくせもふたくせもありそうな作品ばかり。実はすべて、1967年から1976年ごろに作られた映画で、当事のハッピーエンディングの「ハリウッド的」わかりやすさに飽き足らない若手映画人たちが勇気を持って既成の映画の世界に切り込んできた作品なのです。これらの映画の登場にどんな意味があるのか、何が表現されているのか、などを、町山氏が豊富な知識を持って解説してくれています。ここまで知らなくてもいいのではないかという情報もありますが、こういう映画の鑑賞の仕方もあるということで、特に映画上級者の方は一読する価値のある本ではないかと思います。解説部分以外にもそれらの映画にまつわるさまざまなエピソードも紹介されていて、面白いです。「卒業」のダスティン・ホフマンが演じた、大学生のベン役は、最初ロバート・レッドフォードにキャスティングされそうだったそうです。ところが監督のマイク・ニコルズがレッドフォードに「君は今までふられてことあるかい?と尋ね、レッドフォードが憮然として「ご冗談でしょ?」と聞き返したことで、ロッドフォードのベンはなくなったそうです。女性にもてないほうが役をゲットできたってことですよね。もてないほうが良いって事もあるわけですよ。 確かに、あの役をレッド・フォードってのは違和感あるわ~。

「アメリカ人の半分は~」を夫にも読んでもらいましたが、「面白かったけど、アメリカ人はどういうかなあ」と言っていました。「きっと反論するやろな」とも。怒り出す人もいるかもね。
でも、この町山智浩さんという方は、きっとアメリカの悪口を言いながらも、実はアメリカを深く愛しておられるのではないでしょうか。そうじゃなきゃ、こういう本は書けないでしょうね。ほかの著書も読んでみたくなりました。

by oakpark | 2009-03-24 01:14 | | Comments(12)

今日は快勝!~キューバ戦~   

普段、プロ野球のペナンとレースは見ない私ですが、WBCは燃えますね~。
昨日の韓国戦、今日のキューバ戦と、全部見てしまいました。
昨日の韓国戦は、いらいらしたわ~。ピッチャー陣がぴりっとしなくてね。打線も貧弱で。日本選手は、みんな華奢。韓国の大砲といわれるバッターのほうが貫禄あるわ! などと、テレビに向かって毒づいていました。
今日はピッチャーがよかったですね。先発の岩隈は、コントロールがよくて安定していたし、そのあとの杉内も、落ち着いていましたね。日本チームが拙い攻めをしてしまった裏の守りのときも、悪い流れを断ち切るような好投。あれはよかった。

じっくり観ていると、野球っておもしろいですね。一番びっくりしたのが、何回だったか、先発の岩隈選手がフォークボールで三振をとったとき。その前に、キャッチャーの城島のサインに何度も首を振っていたのです。で、どんな球を投げるのかな、と思うと、その直前に空振りを奪ったボールとほぼ同じコースに、同じフォークボール。アナウンサーが「何度も首を振っていましたね~」と、指摘すると、解説の佐々木(か槙原)が、「もしかしたら、演技かもしれませんね。フォークが切れているので、すんなり投げるとフォークが来るとわかるから」って,言ったんですよ。へ~、そんなことがあるんだ。演技で首を振るなんてはじめて聞いた。案の定、夜のニュースでは、そのことへの質問が飛んでいました。岩隈選手は「自分はフォークが一番得意なので投げました」とポイントをはずした答えをしていましたけど。
野球って、だまし合いなんですね~。

前回のWBCで、私の印象に残った選手は、稲葉選手とピッチャーでは岩瀬選手。どちらもそのとき初めて知った選手なのでした。

今回は、なんと言っても、いつも打ちそうなオーラを出していた青木選手と、ピッチャーでは、杉内選手がすごいと思いました。岩隈選手もよかったけれどね。もちろん、どちらも初めて知った選手です。青木選手はクールなのがいいですね。打ったあとにもガッツポーズなどせずに、淡々としている。ぎらぎらした、闘志丸出しの選手より、そういうほうが私は好みだわ。

稲葉選手と青木選手が写っている写真がありました。
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それにしても、最近、絶対、野球の人気が戻ってきていますよね。
うちの近所に比較的大きな公園があるのですが、先日天気の良い日にその公園の横を通ると、たくさんの子供たちが野球をしていました。サッカーをしていたのは2,3グループくらい。7,8グループは野球をしていました。やはり、日本人には野球のほうがあっているのかな。サッカーは身体能力がすべてのような気がするけれど、野球は走るのが苦手でも力持ちの子なんかも活躍できるからいいのかな。

でも、うちの長男は野球はいやといいます。理由を尋ねると、守っている間が暇、なんだそうです。まあ、それもそうかしらね。 あなたは、野球派? それともサッカー派?

by oakpark | 2009-03-19 23:33 | 雑感 | Comments(8)

映画「マルホランド・ドライブ」   

さて、超シンプルなエルヴィス映画のあとは、超難解な映画に行きます。
「マルホランド・ドライブ」(Mulholland Drive, 2001年、デビッド・リンチ監督)です。
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今回のカルチャーセンター映画講座のテーマは「ハリウッド、ブロードウェイの舞台裏」でしたが、最終回に取り上げられたのが、最終回を飾るにふさわしい、とんでもなく難解なこの映画。実は、この映画に関しては、個人的に思い出があります。ってそんなに、たいしたことではないですが。

私が映画をたくさん観始めたのは2000年頃でした。ひとつの映画を観ると、それに出演していた俳優の別の映画、同じ監督の別の映画を次から次へと観ていき、映画を観ることがどんどん楽しくなっていっていたころ。自然と俳優の名前や監督の名前も覚えていき、もしかしたら私って「映画通」になれるかも。。。なんて思ったものでした。そんなあるとき、以前からファンだった映画評論家の中野翠さんが「今年の一番の傑作」として大絶賛していた映画が、この『マルホランド、ドライブ』だと知ったのです。これは観なきゃと思い、すぐにレンタルショップに走りましたよ。そして、どんな面白い映画が始まるのだろうと、わくわくしながら観始めました。すると、これが、さっぱり、意味不明なんですよ。ストーリーも何もわからない。え?え?え?のうちに(140分と長いが)、エンドロールになり、映画は終わってしまったのでした。なんなの?何が言いたいんだ?でした。そして思ったことは、そうか、こういう映画がわからないと「映画通」ではないんだ、です。冷や水を浴びせられたというか、映画の奥深さを知ったというか、まあ、当時の私にとっては大事件だったわけですよ。その後も「マグノリア」とか「アイズ・ワイド・シャット」とか、いろいろ、意味不明の映画に出会うにつれ、「映画通」になるのはやめて、一ファンとして映画を観ていこうと思ったものです。私の、単純な脳みそでは無理です、こういう映画は。

でも、だからこそ、今回、ジェフ先生が講座で取り上げてくださり、とっても助かりました。そうか、そういうことだったのね~、と半分くらいは理解できたかも。それにしても、普通、映画の最初の四分の三が「夢(ファンタジー)」で、あとの四分の一が「現実」だなんて、思いますか~。映画鑑賞初心者には無理ですよ~。そりゃね、主演のナオミ・ワッツが急に人相悪くなったな、とか同じようなシーンが出てくるなとか、不審には思いましたけど、そんなパズルのような映画が存在するなんて、当時の私は思いもよりませんでした。わからなくて当たり前なのでした。

今回の授業に向けては、質問プリントを見ながら何度も何度も巻き戻して観ました。するといろんな発見がありました。青い箱、青いキー、青い髪の毛。茶色のコーヒーカップ、ウエイトレスの名札、アン・ミラー扮するココの洋服。奇怪なカウボーイの「Hey,pretty girl.Time to wake up」のせりふ。いたるところに「ヒント」は隠されていたのでした。 これからこの映画を観る方もおられるだろうから、詳しいことは書きませんが、デビッド・リンチ監督(TVシリーズの「ツイン・ピークス」で有名)は、この映画は「サンセット・ブルバード」へのオマージュで、ハリウッドの暗部を描こうとしたそうです。なるほど、映画の途中、あちこちにハリウッドを俯瞰する映像や、HOLLYWOODの文字が映し出されることで、視聴者の我々が、遠いところからハリウッドの内部を、それも暗い部分を覗き見しているような気分になりました。 マフィアの圧力、同性愛、売春、殺し屋、プールつきの豪邸。 金、妬み、権力、作り上げられた夢の世界。。。。。。 それらが、パズルのように埋め込まれた映画が、この「マルホランド・ドライブ」でした。なんだか、悲しい映画でした。

これを一度観て理解できる観客はほとんどいないでしょう。監督の自己満足では?観客を置き去りにしていいのか、という意見もあるでしょうが、考えてみれば、映画という媒体がこの世に登場して100年余り、才能あるクリエーターたちは、いろんなことを実験してみたかった、表現してみたかったのでしょうね。観客が理解するかどうかは度外視してでも。動く映像でしか表現できないことを探り、スクリーンに映し出してみる喜び。それを体験できる人にとっては映画作りはこの上なく面白いものなのでしょうね。そして観客も、難解な映画であればあるほど、挑戦意欲が湧き、解き明かしたときの喜びも倍増するのでしょうね。いや、ほんと、映画は深いです。


映画通には一生なれそうにない私ですが、こういうのもある、ということで、ひとつお勉強になりいい気分でした。どのシーンも意味があり、どのシーンも精巧に練られていると思うからこそ、緊張感を持って鑑賞し、それがだんだん快感に変わっていったのが楽しかった。 プールから上がっても髪の毛がきちんと整えられていたりする、エルヴィス映画とはかなり違ってたわ。。

ファンタジー部分と現実部分で、同じ名前で、違うキャラクターになっていた唯一の人物、ココを演じていたアン・ミラーは、この映画の三年後に亡くなっているのですね。往年のミュージカル映画にたくさん出演していた脚線美の女優さんもすっかりお年を召されていました。この方。
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by oakpark | 2009-03-13 23:18 | 映画 | Comments(8)

映画「監獄ロック」~公開を待たずに交通事故死~   

相手役の女優さんに注目して紹介する、エルヴィス関連映画第二弾は「監獄ロック」(Jailhouse Rock ,1957)です。
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この映画は、今年のアカデミー賞授賞式の「Musical is Back」のコーナーで、『ウエストサイド物語』を筆頭に、往年のミュージカル映画がスクリーンに映し出されたときにもちらっと出てきました。そっか、これもミュージカル映画なんだな、と思いました。でもまだこのころは、一応エルヴィスは歌ってもおかしくないシチュエーションで歌っているのですよ。つまり、せりふを言いながら歌いだしたり、歌いながら女性を口説いたり、とか、そういうミュージカル独特の不自然さはない映画なのです。後年になると、不自然さてんこ盛りの映画がたくさん出てくるのですが。。。

さて、今回の主役、エルヴィスの相手役の女優さんは、ジュディ・タイラーという人。1933年生まれで、撮影当時23歳。私、この映画を観たとき、この女優さんは力のありそうな人だなあと思いました。演技にリアリティと力強さがある。美しいだけのへなへなした女優さんではないな、と感じました。とびっきりの美人というわけではないけれど、知的な感じで、年齢を重ねても、脇役でも存在感を発揮できそうな人です。ところがこの女優さん、「監獄ロック」撮影終了3日後に交通事故で亡くなっているのです。23歳にして二度目の結婚をしたばかりで、夫と共に車でロスからニューヨークに帰る途中のことだったそうです。テレビの子供番組で活躍し、映画出演は「監獄ロック」が2作目。しかしこの作品の公開を待たずしてこの世を去ってしまったのです。なんだか、ジェームズ・ディーンを思い出します。こういう不運な人もいるのですね。 ジュディの事故死を知ったエルヴィスは相当ショックだったそうです。二人のこの写真が私は大好き。恋人というより、姉、弟という感じで楽しそう。
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「監獄ロック」でのジュディの役どころは、レコード会社の営業担当部員です。 ストーリーを簡単に説明すると、ひょんなことから(エルヴィス映画にはこれが多い)、酒場で男を殴り殺してしまい服役することになった青年(エルヴィスは)、同房の元カントリー歌手の男からギターの手ほどきを受ける。テレビ中継されるという刑務所内のショーに出演すると、これが評判になり歌に自信をつける。刑期が終了し、あるクラブで歌っているところをジュディ扮する営業部員に気に入られ、レコードデビューすることになる。その後、青年エルヴィスは映画の世界にも進出し成功を収めるが、ご多分にもれず天狗になり、ジュディとも、マネージャーを買って出た元カントリー歌手の男とも仲たがいをするが、怪我をしたりして苦難の時代を乗り越えて、心を入れ替えめでたしめでたし、という映画です。10段階で6から7の映画でしょうか。いや、前回の「ヤング・ヤング・パレード」が5と言っているので(私が)、これは7ということにしておこう。この映画には大好きな曲がたくさん入っているし。「監獄ロック」は映画バージョンよりレコードバージョンのほうが好きですが(前奏が全然違う)、Queen のフレディ・マーキュリーが1986年のウエンブリー・ライブで歌った「ベイビー・アイ・ドント・ケア」を歌うシーンが特に好き。ちょっとぎこちないダンス、プールなのにセーターを着ているちぐはぐさ、とびっきりの笑顔、すべてだ~い好きです。そして、ここに紹介するもう一曲、「トリート・ミー・ナイス」も軽快で好きな曲。そういえば、小泉元総理がグレースランドを訪れたあとに屋外でスピーチをしたときに、ブッシュ前大統領に向かって「トリート・ミー・ナイス してくれてありがとう」と、エルヴィスのこの曲の題名にかけてジョークを飛ばしていましたが、ブッシュ大統領はわからなかったみたい。それほどメジャーな曲ではありません。このシーンで、一生懸命最後までのりのりで手拍子をしているジュディの姿も印象的。このリズム、結構難しいんですよね。続けていると、途中でおかしくなってきます。それと、後ろのバンドは実際のエルヴィスのバンドのメンバーなのですが、エルヴィスが歌いはじめに、右後ろにふり返り、ウッドベースのビル・ブラックのほうを見るんです。で、ビルは、ちょっと照れたように笑います。これはどうしてだろう、とずっと気になっていたのですが、ビルの演奏の出だしが遅れたんじゃないか、と最近気づきました。なんだかビルの手が少し遅れているように思うので。もちろん音はスタジオで別に録音されたものが使用されていますが、実際の現場でも演奏していたのではないでしょうか。ビルが遅れて音が聞こえなかったのでエルヴィスがふり返ったんじゃないかなあ、と私は思っています。違うかな。この曲、エルヴィスが途中でふっと間をとる歌い方がかっこいいです。

不慮の事故で早世してしまったジュディ・タイラーですが、エルヴィスの代表作映画に出演したということで彼女の名前は映画史に刻まれたと思います。よかったね、ジュディ。

by oakpark | 2009-03-13 01:28 | ELVIS関連映画 | Comments(18)

映画日記・・・アカデミー賞受賞式&「マンマ・ミーア」   

遅ればせながら、先ほど、NHKBSでアカデミー賞授賞式の短縮版を見ました。 で、驚いたことをメモしておきたいと思います。

主演男優賞にリチャード・ジェンキンスがノミネートされていたのですね。びっくりしました。あ、あの人だ!と思いました~。たぶん、この人、日本ではそれほど知名度は高くないとは思いますが、私にとっては、「リトル・ニキータ」でリヴァー(リヴァー・フェニックス)のお父さん役だったということで頭の中にインプットされている俳優さんなのです。その後も何かの映画で、あ、あの俳優さんが出ている、と思ったこともありますが、ずっと活躍されているのですね。アカデミー賞授賞式でもプレゼンターが「60本以上の映画に出ている」と紹介していました。そういえば、「リトル・ニキータ」でも、印象に残る演技でした。脇役なのに。実力者なのでしょうね。長年映画にかかわってきて、初のノミネートはうれしかったでしょうねえ。
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映画自体はファンの私が見ても雑な作りのB級映画なのですが、シドニー・ポアチエを知ったということでも私の中では重要な映画。もちろん、リヴァーもすばらしい。

リヴァー・フェニックスは映画人としての10年ほどのキャリアの中で13本の映画を残しましたが、リヴァーと関わった人が今でも活躍しているのを見るのはうれしいことです。2007年には、「モスキート・コースト」でリヴァーの母親役だった、ヘレン・ミレンがアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。ちなみに父親役はハリソン・フォードでした。ていうか、ハリソン・フォードが主役です。このときのリヴァーの美しさは目を見張るほどです。
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で、今年のアカデミー賞主演男優賞はショーン・ペンが取りましたね。ショーン・ペンのスピーチは、彼らしくメッセージ性がありました。そして、ショーン・ペンが主役を演じた映画「ミルク」の監督、ガズ・ヴァン・サントは、リヴァーの後期の代表作「マイ・プライベート・アイダホ」の監督でもあります。
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この映画をはじめて観たときは、こんな映画に出たからリヴァーが早死にしてしまったんだ!と怒りさえ感じたものですが(ドラッグを使用するシーンがあるので)、リヴァーはガス監督が大好きで兄のように慕い、全身全霊この映画に打ち込んだそうです。その年のベネチア映画祭で賞を取っています。ガス監督はその後も個性的なすばらしい作品をたくさん残しているようです。

さて、話変わって、今日はまたまた我が家の女の子軍団3人で「マンマ・ミーア」を観て来ました。父親が誰かわからない、という話が絡んでくることから、10歳の次女には無理だなあと思っていましたが、次女のお友達のお母さんが大丈夫だったよというので連れて行くことにしました。でも、やはり、びみょうでした。。。もちろん、長女も次女も、可笑しいシーンでは大笑いし、楽しんでいましたが、「その」テーマがどうも次女には意味不明だったようで、「どういうこと?」と長女に尋ねていました。でも、ありがたいことにテンポが速いので、???のままどんどんお話が進み、映画が終わるころには、いつのまにか、「その」疑問も忘れてしまっていたようです。よかった、よかった。
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アバの音楽ものりがよく、とっても楽しかったですが、あえて難点を言うと、やはり、出演者の歌唱力が物足りなかったな~というのがあります。最後くらい、本物か歌のうまい歌手の「ダンシング・クイーン」が聞きたかった。ちょっと欲求不満がたまったのですが、でも、だからこそ、映画を観終わった後、アバのCDを買いに、あるいは借りに走るところが狙いかな。
それと、これは私のほんと個人的な感じ方だとは思うのですが、字幕をもう少し上品にしてほしかったなあ、と。「ヤル」という言葉にはどうも抵抗があります。「ネル」とか「スル」では、だめなのでしょうか。全部の英語がちゃんと聞き取れたわけではないけれど、何度かsleep with と言っているのが聞こえましたが、この言葉は、もうちょっと上品な響きがあるのではないかなあ。ほかにも、あ~、子供に(長女にも)見せたくないと思う字幕がありました。まあ、子供を連れて行く私が悪いのでしょうが。大人対象の映画だったのかもしれません。

そう、大人、それも、中年から初老の人を励ます映画でもありました。これを観て、まだまだいけるぞ~と元気をもらった人も多いのではないかしら。

でも、私は、やはり、若いきれいな人の映画のほうが好きかも。特にラブストーリーは。自分がいくら年とって、しわしわのぶくぶくになっても、スクリーンの中の若いきれいな人たちに自分を投影したい!な~んてわがままかな。 

by oakpark | 2009-03-08 00:53 | 映画 | Comments(11)

女の生き方、、、なんてね。   

女の生き方はいろいろあるなあと思う。
女の生き方は、つねに「男」を意識する生き方だとも思う。
女に生まれたら誰しも、多かれ少なかれ、女であることの損得を考えたことあるんじゃないかなあ。
男もあるのかな。「男とは」「男なら」「男だから」なんて。やはりあるんだろうな。
男も大変だろうけれど、女も大変だ。いろいろ制約がある。生理的にも社会的にも。容姿の良し悪しは、男以上に人生を左右する。

なんてね。
去年の11月に遠藤周作の「私が棄てた女」を読み、その関連で、というわけではないのですが、なんとなく思い出して、こんな本を読み、そんなことを思いました。
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『二十歳の原点』 高野悦子著  『青春の蹉跌』 石川達三著

どちらも1960年代後半を舞台にしていて、現在とは女性の地位も社会全般の価値観も違いますが、まだ若い日本で、若者が悩みながら苦しみながら生きていた現実を、重苦しい気分で読みました。将来有望な優秀な学生に寄りかかって生きていこうとした、『私が棄てた女』の森田ミツと『青春の蹉跌』の大橋登美子。男から自立し、ブルジョアに反発し、家族という暖かい場所に背を向け突っ張って生きていこうとし、けれど一方で異性へ引きつけられる気持ちを否定できずに苦しんだ高野悦子さん。どれも女性の生き方なんだなあ。
そして、こういう人も。
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あと一歩で、世界一の大国、アメリカ合衆国の大統領というところまで行った女性は、何を考えどんな道を歩んだのかしら。最後まで読み終えるかどうかまったく自信がありませんが(だって、分厚い!だって、固有名詞が多い! だって苦手な政治の話ばかり!!) 一応読み始めました。まだ最初のほうですが、彼女がはじめて「女性だから損だわ」と思ったのは、宇宙飛行士になりたいと思い、NASAに手紙を出し、「女性は採用していない」という返事をもらったときなんだそうです。1962年ごろ、彼女が15,6歳のころのことだと思われます。すごいよ~。

そういえば、我が家の高1の長女も「女性であること」を意識し始めているように思いますねえ。
先日、クラスで「結婚」についてのアンケートをとったのだそうですが、「結婚したくない」と答えたのは彼女一人だったそうな。なぜしたくないんでしょうね。親としては気になるところです。そして、今後何を学び、どういう女性になりたいのでしょう。本人も考え始めているようでもあります。今後いろんな壁にぶち当たり、悩みながら進んでいくんでしょうね。親としてはただ、自分の納得できる、身の丈にあった生き方をしてもらいたいと願うだけです。

もうひとり、女優を目指し夢あふれた人生を送るはずだったのに、不幸にもそれが断たれてしまった、この女の子の思春期のつぶやきにも耳を傾けたいと思い英語で読み始めました。仕事ネタにもなるかな?なんて思ったりもしています。
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さて、話変わって、編み物二作品仕上げました。
写真ではうまく色が出ていませんが、スモーキーピンクが気に入って買った毛糸で編んだベスト
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左の毛糸球が右のような柄になりました。我が家の女子でかぶってみて次女が一番似合った帽子
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by oakpark | 2009-03-05 16:50 | | Comments(14)