2009年 11月 01日 ( 1 )   

最近読んだ本(9月ー10月)   

早いもので、今年もあと2ヶ月です。駅前では、年賀葉書の売出しが始まりました。なんだかあせってしまいますね。 子どもの頃は、あわただしい雰囲気の年末が好きでしたが、今はあまり好きではありません。大掃除だの、お正月の準備だのとテレビや巷で騒ぎ出し、否が応でも忙しい気分になってしまいますから~。思えば、今年はインフルエンザ禍で、3週間子どもが家にいる平日があったので、落ち着かなかったなあ。息子(1週間)→息子の学校が閉鎖(1週間)→次女のクラスが学級閉鎖(1週間)というふうに。「え~あしたもいるの?」とつい言ってしまうと、「お母さんは子どもが嫌いなの?」と次女に言われてしまいました。子どもは好きだけれど、子どもが平日家にいるのが嫌いなのよ~、とは言いませんでしたが。もちろん、「好きよ」と言いましたが。痛いところをついてくるなあ、次女は。

さて、最近読んだ本。
以前お友達のブログに紹介されていた中野京子さんの本を2冊読みました。
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● 「歴史が語る 恋の嵐
  歴史上の有名な女性の恋のエピソードが、恋をした年齢の若い順から紹介されています。私が子どもの頃に最初に読んだ伝記本の主人公、キュリー夫人は18歳のところに登場。家庭教師先の家の長男に恋をしたんだとか。家柄の違いから成就しなかったけれど、もしこの人と結婚していたらどんな人生になっていたのでしょう。物理学者にはなっていなかったかもしれません。最高齢は55歳のエリザベス1世。55歳のときに33歳年下のエセックス公ロバート・デヴルーに恋したのだそうな。てことは、まだ私にも恋がきる???

● 「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語
 スイスの1豪族から名家にのし上がり、650年もの間、王朝として長命を保ったハプスブルク家の人々を、残されている絵を紹介しながら、描かれた時代背景やその人物にまつわる人間関係をわかりやすく説明してくれています。その時代、時代の著名な画家が肖像画を描いているようですが、どれほど本物に忠実なのでしょうね。やはり多少なりとも実物よりよく描いて気に入ってもらおうという下心なんかがあるのじゃないかなあ、と疑ってしまいます。ただ、エリザベートに関しては、写真も掲載されているのですが、フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター(という人)が描いた絵とそっくり同じでした。うわさどおり、とっても美人です。この本の良いところは、紹介されている絵がオールカラーだということ。それで980円は安い!大きな絵で見てみたいなあと思う絵も何枚かありました。絵画に関しては、若い頃から疎い私でしたが、最近少しずつ、絵画の良さを感じることが出来るようになってきたようにも思います。中野京子さんは「怖い絵」シリーズで有名になったようですが、西洋美術や、西洋史、西洋文化に造詣が深く、素人に寄り添った、とてもわかりやすい解説をしてくださる作家です。他の作品も少しずつ読んで行きたいです。

● 「半島へふたたび」 蓮池徹
 北朝鮮から帰還した蓮池さんが6年ぶりに夫婦で朝鮮半島にわたり、韓国を(視察?)旅行した際に感じたことを綴った旅行記。「韓国は敵国」と教えられてきた蓮池さんが実際にご自分の目で韓国を見たときに何を感じるのかに興味を抱き、また、新潮ドキュメント賞を受賞した本だということで、本屋で購入しました。実は私、蓮池さんのお兄さんの書いた「奪還」も購入して読んだのですが、「北朝鮮への拉致」や「中国残留孤児」というキーワードに弱いのです。なぜでしょうね。異国の地に取り残される恐怖というものが私の心のどこかに引っかかるのかしらね。蓮池さんは、北と南での「戦争記念館」での展示の仕方の違い、住居の違い、言葉の違いなどについて、北での辛い思い出話を挟みながら巧みに紹介しています。そういえば、この本の中に「イムジン河」についてのくだりがありました。「南北分断を憂い嘆く悲歌はたくさんあるけれど、そのうちの一曲が昔ザ・フォーク・クルセダーズというグループが歌っていた『イムジン河』だ。これはもともと北朝鮮で作られた曲なので、日本でのリリース早々、発売中止になったことで知られている」 私がこの本を読んだ直後に、加藤和彦さんが亡くなられたというニュースが飛び込み、とても驚きました。蓮池さんが北のTV番組でたまたま聞き(これはとても珍しいことらしい)、感動したというキム・ヨンジャさんの『イムジン河』はこちら
私は、韓国へは20年近く前に一度だけ行ったことがあります。夫の仕事仲間のリーさんを訪ね、ついでに観光もしてきたのです。リーさんは私が出会った最初の韓国人ですが、とても穏やかで知的な素晴らしい方で、韓国の印象もぐっと上がったことを覚えています。歴史好きの夫は、日本人があまり訪れないと思われる、三・一独立運動の発祥地で有名なタプコル公園に行きたいと言い、リーさんが案内してくれました。覚えているのは日本兵に踏みつけられている韓国の人たちが描かれているレリーフがたくさん並んでいたこと。その場に居合わせた現地の年配の男性が、リーさんに向かって「日本人と一緒にいるお前も日本人みたいに見えるぞ」と話しかけたこともあって(リーさんに尋ねてわかった)、新婚旅行で行ったパールハーバーで感じたときと同じように、居心地の悪さを感じました。なんで夫は、こんなに日本人が嫌われそうなところばかり行きたがるのだろう?と少しいやな気分にもなりました。あれからほぼ20年。日韓共催のワールドカップもあったし、韓流ブームもありました。今韓国に行ったらどんな印象を持つかなあ。変化を感じるでしょうね。

● 「砂の器」 松本清張
 朝日新聞の紙上読書会『百年読書会』の10月の課題でした。私、恥ずかしながら、清張作品初体験です。有名な作家だけれど、なぜか、これまで読んできませんでした。大企業のような男社会を舞台にした「男性的なミステリー」と勝手に思い込んでいて、仕事の疲れを癒す気晴らしに本を読んでいた20代には手が伸びませんでした。今回は、映画を先に観たあとで本を読んだのですが、かなり描かれている世界が違うと感じました。焦点のあて具合が違うというか。そして、珍しいことに両者とも成功しているように思います。映画は、犯人父子の辛い放浪生活を、日本の美しい四季の移ろいの中で描くことで視覚的に訴え、スケールの大きな出来栄えになっているし、本のほうは、ひとことで言うと、人間ドラマになっていると感じました。ミステリーの主役である刑事はもとより、登場人物全ての人となりを頭に描けるというか、それぞれの自分物が丁寧に魅力的に描かれていると思いました。これを機会に他の清張作品を読んでみたいです。昭和の時代を感じさせるところもノスタルジックでいいわ。

by oakpark | 2009-11-01 01:47 | | Comments(8)