本『シズコさん』『解縛』『小さいおうち』   

ゴールデンウィークが終わりましたが、きょうもさわやかな良いお天気の日でした。今年は気持ちの良い日が多くてうれしいな。

最近読んだ本の紹介。

★ 『シズコさん』    佐野洋子著
★ 『解縛』        小島慶子著

私は、このときの日記にも書きましたが、母親と長女の関係に興味があります。自分自身、多大なる影響を母から受けてきました。母の期待にこたえようとがんばり、母の理想を若干うっとおしいと感じながら思春期を過ごしてきました。母が別の人だったら、私はどんなふうに違っていただろうか、とか、私が長女ではなく次女であったらどうだったろうか、と想像することは今までほとんどありませんでしたが、もし、無理やり想像してみると、きっときっと今の私とは全く違う私がいたのではないか、と最近思うことはあります。

私の母も長女で、母の母から受け継いだいろんなものを持っていました。そして、私も母から学んだものを子どもたちに伝えたり、逆にあえて伝えなかったこともあるでしょう。長女は母から一般的にはどんな影響を受けるのか。私のケースとは違っているのか、同じなのか。そういった部分に興味を持ち、最近よく目にする、「母娘もの」の本を読んでみたくなり、最初に選んだのが、村山由佳さんの『放蕩記』。これは読んでいてつらい部分もありましたが、最後に感動する部分があり、読後感はよかったです。

しかし、今回読んだ『シズコさん』 『解縛』 の2冊に関しては、全く共感できず、「なんで、こんなことを書いて公にしてしまうんだろう。生んで育ててくれた母親のことなのに」と不快感しかありませんでした。 書かれていることは事実なんだろうし、ここまで書きたいほど、著者は苦しみを抱えてきたのでしょう。しかし、本にして世に出すからには、何か読者に訴えかけるものが欲しい。何か、明るい材料が欲しいと思いました。ただただ、苦しい苦い経験ばかりで、読んでいてつらくなってしまいます。 また、『解縛』に関しては、出来事を効果的に見せるためなのか時代が前後し、その割にはインパクトが弱く、読みにくかったです。作家ではない人が書いた本、という点では、『大リーガーの女房』を書いた、田口恵美子さんのほうがずっと文章のもって行き方が上手だなあ、と思いました。 「母娘もの」は、興味はあるけれど、読むのは結構きついですね。

★ 『小さいおうち』             中島京子
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この本には、直木賞を受賞する前から興味を持っていました。どこかの書評欄で、紹介されているのを読んだときに、面白そうだな、と思ったのです。ハードカバーの時には買えず、文庫本になってやっと読みました。ものすごく、期待をしていただけに、最初のほうはあまり乗れず、こんなものなのかなあ~~と思いながら読みすすめていました。要するに、ある家政婦の目を通して描かれる、昭和初期の善良な夫婦の家庭での出来事と当事の時代背景の紹介だよね、と。けれども、自分が子供の頃の風景を思い出させるような記述もあり、懐かしい昭和初期の日本を思い描く楽しみはありました。父が「皇国2600年行事」のことを夕食のテーブルで語っていたように記憶して、それが1940年のことで、父は7歳だったんだな、と思ったり。大学生のころ、買ったばかりのお気に入りのスカートを叔母が見て「それ、戦時中に流行った人絹でしょ」と、ちょっと見下げるように言ったことなんかを思い出したり。でも、小説としてそれほど惹かれるものはないなあ、と思い始めていた中盤。家政婦が仕えていた奥様の秘密が語られ始めたころから俄然面白くなってきました。そして最後。やられた~という意外な終わり方。なかなかうまいです。直木賞のわけがわかった気がしました。やはり、恋愛ネタが入ってこないと、面白くならないなあ~。 読んでよかったです。

by oakpark | 2014-05-11 21:57 |

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