映画「ダーク・ブラッド」   

ゴールデンウィークたけなわ。今日もよいお天気でした。

やっと終わったPTA関係の書類や、受験が終わった次女の部屋から出たゴミなど、本当はそろそろ片付けないといけないのですが、なかなかやる気が出ず。しかも、その前に、やっておかなければいけないことがある。

ということで、観てきました。1993年10月31日に亡くなった、リヴァー・フェニックスの遺作である「ダーク・ブラッド」。26日から渋谷のユーロスペースで公開中です。本当は初日に駆けつけたかったけれど、用事があったので仕方なく延期し、本日、無事任務遂行することができました。

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前にも書いた気がするのですが、私がリヴァー・フェニックスのファンになったのは、今から13年前。長女が小3、長男が小1になったので仕事をしたいと思い立ち、始めてはみたものの、家事と仕事の両立がうまくできず、仕事も若い頃のようには楽しめず、ストレスがたまりっぱなしだった毎日。気晴らしに映画を観ようと、レンタルショップで最初に手にとったのが、リヴァーフェニックス主演の映画「旅立ちのとき」でした。なぜこのときこの映画を選んだのか。日々の憂さを晴らすため、さわやかな青春映画を観て少しでもよい気分になりたいと思ったからでした。このときこの映画を選んでなかったらリヴァーに出会えてなかったし、映画好きにもなっていなかったかもしれません。

この映画でリヴァーに興味を持ち、いろいろ調べ始めました。パソコンを使うようになったのもこのころから。彼の生い立ち、キャリア、交友関係、そして、死について、など知りえることはすべて知りたいという勢いでした。彼の残した映画や映像を手当たり次第に観たのはもちろんのこと、かなり多くのインタビュー記事も日本語、英語、両方で読みました。そして、1人の特異な境遇にあった男性が、少年から青年へと成長する過程を目の当たりにしたように思います。1人の人間の人生をたどるだけで、こんなにいろいろなことを知ることになる、世界が広がる、と思ったものです。「ヴィーガン」という言葉を知ったのもリヴァーから。リヴァーと親交のあった、あるいはあったかもしれない友人の名前も覚えました。レッチリとかニルヴァーナのカート・コバーンとか。リヴァーと共演した俳優がその後も活躍しているのを知るとうれしくなりました。イーサン・ホークとかヘレン・ミレンとかリチャード・ジェンキンスとか。リヴァーの映画から映画界のビッグネームを知ったこともありました。シドニー・ポアティエとか(当時は知らなかった)。 リヴァーは、私の映画鑑賞生活(最近さぼり気味だが)のスタートのきっかけでもあったのです。

そんなリヴァーが最後に出演した映画が「ダーク・ブラッド」。この映画を撮影中に亡くなりました。当事読んだ資料からの情報で私が覚えていることは、長期にわたる砂漠での撮影は23歳のリヴァーにはとてもつらいものだったこと。キャストの中に若者はリヴァーだけでとても孤独だったこと。だから、母親や、当事の恋人のサマンサ・マシスに撮影所まで来てもらったりしたこと。特に監督(ジョルジュ・シュルイツァー)と主演女優(ジュディ・ディビス)の仲の悪さはリヴァーに多大なストレスを与えたそう。やっと室内の撮影になり、ロスに戻ったとき、ストレスから解放されたリヴァーは友人たちとクラブに繰り出し、撮影の間絶っていた薬物を摂取してしまったという。

今回、未完のまま劇場公開にこぎつけたこの映画は、いくつかの主要な場面を欠いていて、そこをなんと、監督のナレーションで補っている。代役を立てたり、適当にシーンを飛ばすのではなく、本来ならこのシーンがあるはず、ということを観客にわからせて想像させる手法。だから、亡くなったロスで撮るはずだったシーンはジュディ・デイビスとリヴァーのラブシーンだったとわかる。きっと、「大変だなあ、いやだなあ」と思っていたんだろうなリヴァーは。そして、羽目をはずしてしまったんだな。監督や、もう1人の主演俳優ジョナサン・プライスのことはとても尊敬していたらしいから。その二人と対立して波風を起こしているジュディのことはあまりよく思っていなかったらしい。そしてジュディのほうもリヴァーにいじわるだった、と当事の記事には書いてあったと思う。

大画面でリヴァーを観ることができさえすれば、という気持ちで映画を観にいったのだけれど、久しぶりに観るリヴァーは、過去に観た作品でのしゃべり方や歩き方、身のこなしを思い出させつつ、文明に毒された白人をイラつかせる自然児の'boy'をとても、自然に演じていた。そして、いわば、初の悪役だ。本当は悪くないのだけれど、観客には悪役に見えるだろう。ファンの私が観ていても「やな男だな~」と思ったのだから、きっとリヴァーの演技はなかなかのものだったに違いない。風貌から、、悪役も絶対に似合ったと思う。生きていれば両方できる俳優になっていたはずだ。私個人としては、髪の毛の不自然な黒さがちょっといただけないと思った。映画ではよく、「ワル役」を演出するときに、髪を黒にするように思うけれど、もう少し明るい色でもよかった気がする。でも、そうしないと、悪役に見えない’’青さ’がまだ23歳のリヴァーにはあったとも言えるな。

目の前でリヴァーが動き、しゃべる、ということ自体が感動で、あまりストーリーのことは考えられなかったけれど、実際のリヴァーともしかしたら近いキャラクターを演じていたのではないかと思う。文明に押しつぶされそうな純粋な青年。実生活と重なり、悲しいエンディングだった。 でも、絶対に観ることはできないと思っていたフィルムだったので、ほんとうにうれしかったです。 もちろん、パンフレットを買いました。リヴァーの経歴、リヴァー来日時の様子、リヴァーが出演したかも知れない映画のこと、など盛りだくさんの内容でとてもよいパンフレットでした。
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by oakpark | 2014-05-02 00:26 | RIVER PHOENIX

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