今でも上手だった!「アリス」   

先ほど、NHKで「SONGS」という番組を観た。今日取り上げられていたアーティストは「アリス」。私が音楽に興味を持つきっかけになったバンド。最初にのめり込んだアーティストだ。なんと、28年ぶりに再結成されるらしい。へ~、と思いながら番組を観ていたら、予想以上に感動してしまった。谷村新司は今でもやはり歌が上手だったんだ!

私がアリスに初めて出会ったのは、今でも決して忘れない、高3の11月だった。深夜ラジオを聴くことを覚えたのもこの頃で、偶然流れてきたアリスの『チャンピオン』という曲にどっき~んとした。この声好きだ!と思った。そう、曲というより、声にほれたんだと思う。すぐにカセットに録音した。そして、今振り返っても滑稽なのだが、友達にこの名曲を聞かせようと思い、翌日、そのカセットを入れたラジカセ(結構大きいやつ)を学校まで持っていった。電車と徒歩で50分はかかる学校まで。ウォークマンなどない時代、友達に曲を聞かせるにはその方法しかなかった。そして友人のKに「ねえ、ねえ、わたし、アリスっていうグループのファンになったよ。特にボーカルの谷村新司の声がいいんだよ。この曲聞いてみて!」と興奮しながら言ったのだった。Kは「ふ~ん」と言った。私よりお姉さん格だったKは、当然、当事すでに世間一般にはある程度の人気があったアリスのことは知っていた。そばにいたHも知っているようだった。へ~、二人とも知っているんだ。私が発見したわけではないんだ、と思った。それもそのはず、当事のアリスは、すでに6枚目のアルバムを出していたベテランで、『今はもう誰も』や、『冬の稲妻』といったヒット曲もある人気バンドだったから。Kは、私に向かって、そんなことも知らなかったのか、というような表情を浮かべながら、「で、顔見たことあるの?」と言った。私は、え?何でそんなこと聞くのだろうと思いながら、「ないよ」と答えた。Kは、冷笑を浮かべながら、「じゃ、明日写真を持ってきてあげる」と言った。Kは野口五郎や沢田研二(つまりイケメン?)のファンだった。 次の日、Kが持ってきてくれた谷村新司の写真を見ながら、なぜKがそんなことを私に聞いたのか、わかった気がした。一瞬ひるみそうになったが思いとどまった。そんなことより、声よ、音楽よ、と思った。音楽に目覚めた瞬間だった。そして、どんどん、アリスにのめりこんでいった。

当事はまだ、レコードレンタルショップなんてなかったと思う。いや、あったのかもしれないけれど、私の家の近所にはなかった。自分のお小遣いでアルバム「ALICE V」と「ALICE VI」は買ったけれど、それより前のアルバムは、持っている人を探して貸してもらおうと思った。クラスのめぼしい友人に声をかけて集めた。音楽に詳しい人たちを友人に持っていたHが「〇〇ちゃんが持っているらしいよ」と教えてくれたこともあったと思う。私は音楽に詳しい人たちとはあまり親しくなかったので、友人のつてや、友人のつてのつて、なんかを使って恥も外聞も捨て、アリスのアルバムをかき集めた。結局、IからVIまで、全部そろえることができたと思う。デビュー曲は「帰っておいで恋人よ」。初々しい歌い方だった。もっと昔からアリスを知っていればよかったと思った。その数年前に、高校と同じ敷地内にある系列大学の大学祭にアリスが来たということを知って地団太踏んで悔しがったりもした。とにかく、その日から大学受験まで、友人のアルバムをかき集めて作ったアリスのカセットを毎日毎日、擦り切れるほど聴いた。谷村新司がパーソナリティをつとめるラジオ番組も全部聴いた。リクエスト葉書も出した。谷村新司が「誰かのことを嫌い、なんて言っちゃだめ。どちらかというと好きじゃないという言い方をしなさい」とラジオで言えば、その通りに実践しようと決意した。アリスは、谷村新司は、当事私の憧れの人で、先生で、彼の言うことは何でも信じた。『美しき絆』ハンド・イン・ハンドと言われたら、そうだ、そうだ、と思ったし。いや~、若かったなあ。アリスと聞けば、受験勉強の日々を思い出すなあ。

私は谷村新司ファンだったけれど、堀内孝雄ファンの友人と歌詞について語り合ったりもしましたね。アリスにはボーカルが二人いて、その二人が対等であるというスタンスを貫いていたことが個性的だったと思う。基本的に作曲者が主にボーカルをとっていたので、アルバムを聞きながら声を聞き分け、この曲はチンペイさん(谷村新司)が作曲したんだな、この曲はベーやんだな(堀内孝雄)と確認しながら聞くのも楽しみのひとつだった。対等な二人の競い合うように重なり合う力強いボーカル、ハーモニーが好きだったな。ドラムのきんちゃん(矢沢透)は、そのつなぎ役、癒し系でしたね。きんちゃんがいなかったらけんかしそうな勢いの二人だった。それ位対等にぶつかり合うボーカルだったな。私はそういうアリスが好きだった。きんちゃんもアルバムの中で一曲くらい歌っていましたっけ。

だから、谷村新司がソロになって、大ヒットを飛ばした「昴」という曲は、実は私はあまり好きではない。私の母はこの曲が好きで、いい曲だね~と言ってくれ、そのときはファンとして誇らしくは思ったけれど、私自身は、私の好きな谷村新司の歌い方じゃないなと思っていた。妙に落ち着いて説教くさい善人の歌、というかんじで、アリスというバンドでの谷村新司が好きだった私には違和感があった。ソロアルバムのほかの曲も似たり寄ったりのバラードが多かった。もう、昔みたいな躍動的な歌い方はできないのかな、とさえ思った。

ところが!先ほどテレビで60歳の谷村新司の歌を聴いて驚いた。昔とほぼ同じように歌っている。力をセーブするような、変に大人びた歌い方ではなくて、全力を出す歌い方に近い。声を伸ばし、最後のほうを微妙に上げたり下げたりするところも昔に近い。このテレビ収録のために特別にボーカルトレーニングも積んだのかもしれない。何年か前にテレビで聞いたときよりうまくなっている気がした。やっぱりいい声。やっぱり上手。ちょっとうれしかった。60歳のアリス、何をいまさらと思う人もいるかもしれないけれど、私は、彼らから力をもらえると思った。再結成ライブ、行ってみようかな。。。。

再結成のきっかけになったらしい、初期の曲「明日への讃歌」を聴いてみてください。私もこれ、大好きだった。昔の谷村新司は不機嫌そう。

私がアリスのファンになるきっかけの曲は「チャンピオン」。この曲も谷村と堀内のボーカルが交互にきます。どこで入れ替わってかわかりますか?

初期のヒット曲では「冬の稲妻」も良いけれど、私は、ポップでいて切ないメロディのこの曲、「涙の誓い」が好きです。今日の番組のラストは「帰らざる日々」でした。

つけたし。。。
アリスといえばやはりこの曲もはずせない。私にとっても思い出深い曲です。この曲を聴いて、エレキギターってかっこいい、とはじめて思ったと思う。ベーやん作曲、ベーやんボーカルの「遠くで汽笛を聴きながら
年輪を重ねた「遠くで汽笛を聴きながら」。昔では絶対ありえなかったけれど谷村新司も歌っています。名曲にはその年齢ごとの味わいがある。

by oakpark | 2009-07-09 00:50 | 思い出の曲 | Comments(7)

Commented by hiromi at 2009-07-09 08:47 x
ひゃーーー(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)
すっごいねー、よく覚えてるね。
高3の11月からなんて、受験期まっただ中じゃないですか。
今、自分の子がそんなだったら、うちじゃ大変なことになりますわ。
ラジカセ学校まで抱えてきたの?へー、まったく覚えてないや。
でも音楽どうのってまったくなかったjuneさんが突如この曲あの曲といいだしたのにはすごいびっくりした覚えがあります。
谷村さんの先生ぽいところわかるわ。女子高だったしそういうお兄さんぽい面に憧れるってのはわかるかも。そういうところからも共学の大学への憧れがあったのかな。
でもでも、あのラジオめちゃエロじゃなかったっけ?
私はそれがとても苦手で谷村さんみたいなおやじはイヤだーと思ってたよ。えーと、話す声自体がちょっと大人のエロさがあるじゃん。

なんといってもさわやかな少年ぽさを愛する私としては、さだまさし派でしたよ。

いろんなバンドが再結成されてるけど、若いころよりさらに良くなってるとかつてのファンは嬉しいよね。
Commented by そしてごっどはんど at 2009-07-09 16:40 x
25年位前のこと。関西のどこかの駅だと思うのですが、
私が乗っていた電車がホームに停まっている時、
窓の外を見て、他の乗客が騒いでいるんです。
「何だろう?」と思って私も窓の外を見たら、
なんと、隣に停車している電車にアリスが乗っていました。

ちなみに私がアリスを知ったのは小学生の時で、
地元のレコード店が主宰したフィルムコンサート。
「今はもうだれも」や「帰らざる日々」の時期に
撮影されたものでした。
Commented by そしてごっどはんど at 2009-07-09 16:51 x
余談ですが、そのフィルムコンサート、
市民会館の小さな集会室でやってまして、
一列目に座っていた20代のお兄さんが
曲に合わせて手拍子を打っていました。

一本目のイルカのフィルムが終わった時、
イライラした感じでそのお兄さんが客席を見回し、
「みんなー!手拍子しようよ!楽しまなきゃ!」と
熱く力説していたのを思い出しました。

みんなその熱さに逆にビビってしまい、
手拍子を打っているのは最後までそのお兄さん一人でした。
Commented by June at 2009-07-10 01:34 x
♪ お~、Hさん、コメントありがとう。
え?覚えてないの! 長方形じゃなくて、正方形を縦に長くしたようなラジカセを持っていった記憶がある。 休み時間に聞かせたじゃない、ほら!覚えていないかなあ~。

そうそう、受験期真っ只中だったのよ。でもそのおかげで気分転換ができてよかったよ。ここまでやったら、アリスを聴ける!と思ってがんばれたから。ラジオは、ヤンタンだったけど、そんなにエロかったかしら~? あまり気になりませんでしたよ、わたしは。面白いお兄さんという存在で憧れたなあ。 そうそう、Hさんは、さだまさしだったよね。彼は知性派よね。さださんも以前より力強い歌声になっている気がしました。いつか聞いたことあるけれど。
Commented by June at 2009-07-10 01:41 x
♪ そしてごっどはんどさん

へ~、そしてごっどはんどさんは、小学生の頃に関西に行かれたことがあるのですね。たしか、谷村新司が桃山学院大学、堀内孝雄が京都産業大学の出身だったなあ。いかにも、関西、関西、したバンドでした。

あはは~。ファンって、あまりにも熱くなりすぎると、周りの人はさめちゃいますよね。私も気をつけなくちゃ(笑)。最近次女が入ったミニバスチームに、めちゅめちゃ日本語がお上手なアメリカ人の母さんがいるのですよ。で、先日はなす機会があって、私はエルヴィスのファンだって言うと、「私は、嫌いじゃないけど(好きだけどって言ったかな)、聞こうとは思わないな」と一蹴されました。もちろん日本語で。アメリカ人=エルヴィスと思っちゃった私がいかんです。

アリスってなんとなく、いつまでもアマチュアっぽさの抜けないバンドだったような気もします。今回は、デビュー当事にライブを行った思い出の場所で復活ライブをするそうです。
Commented by willow42 at 2009-07-11 20:47 x
熱い!既に高校生のときからその熱さを持っていたのですね!
ラジカセ持っていくなんて、すごいよ!ニューヨークの黒人さんみたい。
アリス、有名なやつはレコード持ってて良く聞いてました。
ラジオってヤンタンでしょ?佐藤良子とバンバンとやってた。
私もね、谷村新司の声はエロいと思ってましたよ。エッチな葉書のコーナーとかあったよね?
一番好きだったのは、何曜日だったか忘れたけど釣瓶と大津びわ子の曜日。
鶴光は大嫌いだった。たまに実家に帰ったとき関西ローカルのTV見るけど、
角淳一がすごくエラそうにしてて、びっくりするよ。え?こんな人だっけ?と思って。
Commented by June at 2009-07-12 13:25 x
♪ willow 42 さん

あははは~。高校生の頃から’熱さ’を持っていたのかなあ。もしかしたらこのときに花開いたのかもしれない。私の記憶に残る最初の’熱い’行動ですもの。

>佐藤良子とバンバンとやってた
わ、よく覚えていたね! ブログに書きながら、佐藤良子の存在を忘れていたわ。バンバンは覚えていたけれど。かなりきわどい話題をふられながらうまく受けるこの良子さんってどんな人だろう~っていつも想像していましたよ。今はどうされているのでしょう~。
鶴瓶、鶴光っていましたよね。関西でしか活躍していない芸人さんってのもいたよね。懐かしいね。キダ・タローとかやしきたかじんとか、浜なんとか。。。もう忘れた。へ~、角淳一がねえ~。

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